ライフ

「コロナ脳過労」の症状訴える人増加 60歳以上の3割で認知機能低下

認知症のように見える「コロナ脳過労」を訴える人が増えているという(イメージ)

認知症のように見える「コロナ脳過労」を訴える人が増えているという(イメージ)

「昨年の夏頃から、物忘れがひどくなった。人やモノの名前が思い出せなくなり、今まで得意だった料理の作り方を忘れてしまったり。頭がぼんやりして体調もすぐれない」(65歳男性)

 こうした症状を訴える人が増えている。認知症のように見えるが、これはその前段階とも言える「コロナ脳過労」なのだという。

 命名者であるおくむらメモリークリニックの奥村歩院長はこう語る。

「正式な診断名は『うつ病性仮性認知症』で、コロナの前から症例があります。私のクリニックのもの忘れ外来には、昨年の新型コロナの流行後に患者が増え、今や全体の2割を占めています。警鐘を鳴らすためにもコロナを契機に発症した症例を『コロナ脳過労』と名付けました」

 コロナ脳過労の主な症状は、(1)ど忘れ、うっかりミスが増える、(2)疲労感、頭痛、めまい、腰痛、食欲不振、下痢、便秘、しびれなどの体調不良、(3)不安感や元気がないなど気分の落ち込みなど。

 認知症との違いは、倦怠感やしびれ、下痢、便秘など体調不良を伴うケースが多いことだという。

「慢性的な不安は脳のエネルギーを消耗させます。特に高齢者の場合、経済的な不安や高齢両親の介護など様々な不安を抱えて、脳内の神経伝達物質が働き詰めで、消耗した状態が少なくない。そこへコロナが流行し、テレビから毎日『感染者◯人』などといった情報に触れて不安が増大していることも影響しているのでしょう」(奥村院長)

 外出を控えがちな生活も、関係する。筑波大の久野譜也教授(健康政策)らが、昨年11月、60歳以上の約4700人を対象に、コロナ禍で外出を控えると認知機能にどんな影響を与えるかを調査したところ、3割近くに認知機能の低下がみられたという。

 運動不足や会話の減少で脳への刺激が減った生活を続けていることで“真性”の認知症リスクが高まるというのである。

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン