自分の行動にあれこれ口を出されたらイヤだけど、誰かの言う通りにしていれば回る日常って、ラクっちゃラク。このところ、何かと話題の“洗脳”事件。コトの全容は理解しがたいけど、たしかに私たちの周りにも不可思議な関係ってあるのよね。そこで、これまでは特に気にせず受け入れていたけど、ふと目が覚めたら、「こんな人だったの!?」というエピソードを集めた。
仏壇も位牌も通帳も捨ててしまえ!
「何すんのよぉ、ダメ、それだけは勘弁してッ。ギャーッ、鬼ぃ、警察呼ぶわよ!」
同じ敷地内に住む姉(62才)が金切り声をあげると、姪(38才)は、「大事なモノから捨てなさいって、センセイから言われているの!」と絶叫。聞けば、離婚して実家に戻ってきた姪が、「断捨離」をさらに進めて、生きていくのに最小限の物しか置かないミニマリストというのにカブれたらしいんだわ。
せっせと講座に通って、いまや、「カリスマ・ミニマリストの弟子頭」なんだって。姪が外出したとき、「見てよ」と姉の家に呼ばれたんだけど、家中の家具という家具がきれいさっぱり消えている。「家財道具はおろか、仏壇も位牌も捨てられた。昨日は家族写真と預金通帳も捨てるって言い出して……」と、姉は涙声。
姪の言い分によれば、「大事な写真は画像データにしてパソコンに保存したし、通帳は電子通帳にしたから問題なし。仏壇? いらないでしょ?」だって。
目を剥きながら、「いまは激怒しているけど、すぐに『スッキリした暮らしをさせてくれてありがとう』って、絶対に感謝するようになるから」と姪は言うけど、ミニマリストって、母親を泣かしてまで貫くものなのかなぁ。
(片付けは好きな59才)
リモートワークで夫の真の姿が見えた!!
50才を超えたあたりから加齢臭がするようになったし、たいした教養もない。財布はとっても軽いのに、親戚は重たい。「それでも、いいところもあるから」と、夫(51才)をフォローしていた私。夫婦なんてこんなもん。幸せな結婚をした方だと思っていたのよね。リモートワークでダンナがずーっと家にいるようになるまでは。
もう、結婚生活がどうのって話じゃない。役立たずのおっさんを飼うか、放り出すかって話よ。パソコンの前に座ったと思ったら、檻の中の珍獣みたいに台所をウロウロウロウロ。1時間もしないうちに「疲れた」と言ってグータラして、家事を手伝うわけでもない。
「私だってリモートワークなの。4時から会議!」と、怒鳴りたくもなるわよ。このオッサンと恋愛して結婚したなんて、正気の沙汰じゃない。私、何に洗脳されていたんだ?
(夫婦の緊急事態宣言したい44才)
取材・文/野原広子
※女性セブン2021年4月1日号