プロ野球・阪神のスーパールーキー、佐藤輝明(22)の快進撃が止まらない。3月17日のオープン戦(西武)では、メットライフドームの右中間スタンド中段に6号ホームラン。1972年に5本塁打を放った佐々木恭介(近鉄)のオープン戦新人記録を49年ぶりに塗り替えた。
元阪神監督の藤田平氏も太鼓判を押す。
「1発があるのが最大の魅力。甲子園でレフト方向にホームランが打てるなら東京ドームや神宮、横浜では軽くスタンドインや。物怖じしない度胸もプロ向きで期待できる」
3月26日のヤクルト戦(神宮)の開幕スタメンはほぼ確実。佐藤のフェイスタオルは1日800枚以上のバカ売れで、虎党の期待は高まるばかりだ。
一方、ライバル球団は最大級の警戒を見せる。
「巨人は相手打者を5段階で戦力分析しますが、佐藤の評価はルーキーとしては異例の最上級です。巨人はドラ1候補として佐藤を徹底調査していたので手強さをよく知っている」(巨人番記者)
チームにも活躍が認められ、すっかり一軍に溶け込んでいるが、「あの投手」との関係は微妙だという。
「開幕投手に決まっている藤浪晋太郎(26)です。野手は取材の応答で佐藤を『テル』と愛称で呼びますが、藤浪は表情を崩さず『佐藤』だった。紅白戦で両者が対戦した時は周囲が驚くほどの真剣勝負で、佐藤が三振に切って取られた。阪神の将来を担う投打のスター候補だけに、お互いに意識しているのでしょう」(阪神番記者)
両雄揃い踏みとなりそうな開幕戦だが、チーム内にはこんな不安が。
「藤浪にとってヤクルトは、2017年に死球をきっかけに大乱闘騒ぎに発展した因縁の相手。それだけに、開幕戦は佐藤のケアどころではなくなるでしょう」(同前)
期待の新人に頼れる先輩の背中を見せられるか。
※週刊ポスト2021年4月2日号