国際情報

訪米する菅首相は「アジア人ヘイトクライム」を無視するな

アトランタの悲劇は序章にすぎない(AFP=時事)

アトランタの悲劇は序章にすぎない(AFP=時事)

 3月16日、ジョージア州のアトランタで連続銃撃事件があり、8人が死亡、そのうちの6人はアジア系の女性だった。銃撃した容疑者は逮捕された。今のところ動機は不明とされているが、アメリカのニュース番組では、アジア系に対する偏見、恨みによるヘイトクライムではないかと分析している。その可能性は高いだろう。

 個人的な話になるが、筆者は先日、コロナワクチンの1回目の接種を受けた。接種会場である薬局チェーンのWalgreenに行くと、受付には行列ができていた。しかし手際は良く、スムーズに列は進んでいたのだが、突然それが動かなくなった。先頭のほうを見ると、中国人と思われる男性が窓口の白人女性と押し問答をしている。しばらく待っても列は一向に進まない。それもそのはずで、その男性は英語がわからないのである。白人女性に中国語で話しかけ、本人はスマートフォンの翻訳アプリを開いて女性の英語をいちいち中国語に変換しようとしている。列に並ぶ人たちは、一様に顔を曇らせてうんざりしていた。

 アメリカで暮らすならば、英語で最低限のコミュニケーションを取れることは常識だ。その男性は自国の言葉ですべてが通用すると思っているかのように、多くの人を待たせても平気な顔をしている。言葉が十分でないことは仕方ないとしても、その態度を見て列に並ぶ人たちはイライラしていた。

 それというのも、ニューヨークでは、多くの中国人はチャイナタウンに住み、その中で緊密な関係を保ち、集団生活を送っている。基本的に経済活動もチャイナタウンの中で完結し、あまり外の人たちと触れ合おうとはしない。同じアジア系として困るのは、アメリカ人の大半は、日本人、中国人、韓国人の区別が全くつかないのである。日本人は外国で暮らす礼儀をわきまえ、英語を勉強する人がほとんどだ。多くの韓国人も同じような傾向で、英語に関してはとてもうまい。しかし、中国人に対する憎悪が増すと、日本人も韓国人も同じような目で見られてしまう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン