ワクチン接種が進む国では「済んだ人」「まだの人」で生活様式が変わる。感染リスクが違うためそれは必然の流れだが、その際に「接種済み」を証明するのが「ワクチンパスポート」である。
「様々な活動の際に提示を義務付けることで、ワクチン接種率が高まることが期待されています」(国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター・一石英一郎教授)
イスラエルでは2回のワクチン接種者、コロナ回復者に「グリーン・パス」を発行している。
「パス保有者はコンサートなどへの参加、ホテルやスポーツジムの利用が許可されます。ギリシャはイスラエルのパス保有者に隔離なしで入国を認める方針を決めた」(同前)
EU加盟国も導入予定だが、デメリットもある。
「観光やスポーツ・文化施設、飲食店や高齢者施設などでパスポートの提示が求められれば、持たない人は利用できなくなる。これは事実上の“ワクチン強制接種”になりかねません」(同前)
約1年にわたってロックダウンとリモートワークを続けてきたイスラエルでは、ワクチン未接種の従業員の出社を禁止する企業が出てきて物議を醸している。
河野太郎ワクチン担当相は「国内での使用は今のところ考えていない」と発言したが、経団連からは政府に要望が出されている。高齢者優先の接種となる日本で導入されれば、数か月後に「シニア以外お断わり」の店が出てくるかもしれない。
※週刊ポスト2021年4月2日号