小泉進次郎・環境相が、昨年のレジ袋有料化に続き新たな施策を打ち出した。コンビニでもらえる使い捨てフォーク・スプーンの有料化だ。3月9日に閣議決定されたプラスチックごみのリサイクル強化や削減に向けた新法案についての会見で、進次郎氏は無料での配布をなくす見通しを示した上で、「自分でスプーンを持ち歩く人が増えていく。こうしたことでライフスタイルを変化させていきたい」と自信満々。
だが、この先進的な取り組みに、専門家からは否定的な意見が相次いでいる。流通ジャーナリスト・渡辺広明氏は言う。
「コンビニではパスタやプリンなどのデザート類など、フォークやスプーンを使う商品の売り上げが落ちる可能性がある。レジ袋に加えて『スプーンは有料ですがお付けしますか?』という店員の負担も増す。せめてコンビニにどれくらいスプーンやフォークを使用する商品があり、どれぐらい持ち帰っているのかを調査した上で判断すべきではないでしょうか」
衛生面からの批判もある。長野保健医療大学看護学部の塚田ゆみ子・助教は、「スプーンはお箸より舐めたりする分、口の中に入っている時間が長いので、清潔に使用する意識が大切。公衆衛生の面からはマイスプーンより使い捨てのほうがよいでしょう」と指摘する。
政界からも「あまり目立てていないという焦りがあるのではないか」(政治ジャーナリスト・有馬晴海氏)とも言われる進次郎氏だが、この件ではネット上でも否定的な意見が多く、「レジ袋につづいてプラスプーン有料化のやつ。『え、よりによっていま政府がそれやる必要ある!?』というか、生類憐れみの令が発布された時の江戸の民の気持ちが少し分かった」というツイートが拡散された。
さながら「令和の徳川綱吉」。だが、悪名高かった生類憐れみの令には近年、「世界初の動物愛護法」として再評価の兆しもある。“犬公方”ならぬ“プラ公方”として、進次郎氏も350年後ぐらいに再評価されるのか。
※週刊ポスト2021年4月2日号