中国の月探査機「嫦娥(じょうが)5号」に載せられて宇宙を旅した約1500粒の稲の種もみが、中国華南農業大学の研究施設で発芽したことが分かった。順調にいけば、夏ごろには収穫できることになる。中国メディアが報じた。
嫦娥5号に搭載された稲の種もみは計40gで、昨年11月、月に着陸し、76万kmを飛行後、地球に戻ってきた。
この稲の種もみは第2世代で、第1世代は2年前に地球の周回軌道上を回っていた宇宙船に積まれて、地球に戻った際回収されたもの。同大国家植物宇宙育種プロジェクト技術研究センターで栽培され成長し、採取された種もみだ。
同センターの陳志強センター長は「今回の搭載は世界で唯一の月周回軌道を回るなかで、突然変異が起こるかどうかを調査するための研究が目的だ。これは世界で初めての実験となる。宇宙という特殊な空間で、稲の種子の遺伝子にどのような変化が起きていたのかを今後、数代にわたって調査するという長期的な研究プロジェクトとなる」とコメントしている。
この稲が順調に成長すれば、早ければ6月にも収穫される予定で、そこから選ばれた稲もみが再び、来年にも発射される月探査船などに載せられて、再び地上で育てられるとのプロセスを繰り返していくという。
微小重力や太陽フレアが遺伝子にどのような影響を与えるのかについて、調べることになる。