テレビ界が変革の時期を迎えている。昨年から、評価の基準が世帯視聴率から個人視聴率に移り、49歳以下を対象にする局が増えている。4月から、TBSはターゲットを『男女13~59歳』から『男女4~49歳』に変更する意向だ。その影響もあってか、31年半続いた『噂の!東京マガジン』が3月28日で終了する。テレビ局関係者が話す。
「『噂の!東京マガジン』は、4月からBS-TBSへ移行します。視聴率が悪いわけではなく、TBSのターゲットの変更が大きい。司会の森本毅郎は81歳で、最も若いレギュラー陣はアシスタントの小島奈津子で52歳。2人を含むレギュラー陣の平均年齢は64.8歳。若い世代が積極的に見ようとは思わないでしょう。しかし、BSの主な視聴者は高齢者ですから、そちらの方が合うと判断したのでは」
近年、TBSと系列9局での放送だったが、BSへ移動することで全国放送になる。
「地上波からBSになると、格落ちしたように思われがちです。しかし、BSは2019年の時点で世帯普及率77.1%まで上がっている。『噂の!東京マガジン』は地上波では中部や関西、中国、四国地方などでネットされていませんでしたから、実はBS放送によって今までよりも視聴できる人が多くなる。かつてネットされていた地域で、久しぶりに見ようとする視聴者もいるでしょう」
視聴可能な世帯が増えるが、製作費は減少する。レギュラー陣のうち森本毅郎(81)、小島奈津子(52)、井崎脩五郎(73)は地上波時代と同様に毎週出演するが、清水国明(70)、山口良一(66)、笑福亭笑瓶(64)、風見しんご(58)、深沢邦之(54)は3名ずつが週替わりで交代していく予定だ。
「BSは地上波と比べて、スポンサーが少ないですから仕方ありません。しかし、BSが全国放送できるというメリットを活かし、新たな視聴者を獲得していけば、広告主もBSの価値に気づくでしょう。結局、消費者が金を使わない限り、製作費は増えない。テレビは無料放送ですが、視聴者の消費行動があるから、広告を出そうという企業が出てくる。無料のようでいて、実は視聴者がお金を使うことで成り立っている。だから、景気が良くなれば、制作費が上がって、大掛かりな番組もできるようになる」
地上波テレビが49歳以下をターゲットにすることで、M3(男性50歳以上)、F3(女性50歳以上)に人気のある番組は今後、地上波からBSへ移行するパターンが出てきそうだ。
「『噂の!東京マガジン』が成功すれば、格下げ感もなくなる。BSの立場からすると、地上波で知名度のある番組が移ってくれば、全体の底上げにつながる。特に、情報バラエティーは最も欠けている分野ですからね」
この移動はBSの今後を占う試金石になりそうだ。