いよいよ春のGIシリーズ開幕する。高松宮記念は馬券的にも面白いレースになりそうだ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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この時期に行なわれるようになってからの21回で馬連万馬券は4回。うち20回は3着以内に4番人気までの馬が2頭は絡んでいる。17回は単勝払戻金が1000円未満で、4番人気馬までがコンスタントに結果を出している――そう聞けば、堅く収まりそうだが、時代が変わってその傾向にも変化が見え始めている。
昨年勝った9番人気モズスーパーフレアの単勝32.3倍というのは、GⅠになってからの25年でも最も人気薄。それまでは1999年マサラッキの18.6倍(8番人気)が最高オッズ。しかも昨年最初にゴール板前を駆け抜けたのは、15番人気のクリノガウディー(4着降着)。そのまま確定していれば、馬連は8万1700円、3連単は176万5260円だった。
そして一昨年は勝ち馬こそ3番人気馬だったが、2着セイウンコウセイが12番人気、3着ショウナンアンセムが17番人気で3連単が449万円。この時期になって初めて馬券圏内に4番人気までの馬が1頭しか絡まなかった。この2頭が6年前の同じレースでデビューしていて8着と12着だったというのは有名な話である。
つまりここ2年は荒れ模様だ。
今年上位人気が予想されるレシステンシアは、前走で快勝した時の鞍上が異国へ旅立ち、この馬で結果を出しているレジェンドの騎乗も実現せず、外枠にゲートインすることになった。ダノンスマッシュはスプリント適性抜群だが、昨年12月の香港以来のレースで馬場状態への不安が囁かれている。マイルなら主役のインディチャンプは1400mのここ2戦でもう一つ弾けておらず、さらなる距離短縮がどうなのか。
ならば穴馬探しのほうに妙味がある。
今年初戦となる4歳牝馬マルターズディオサは、チューリップ賞で逃げるレシステンシアを早めに射程圏内に捉え、直線であっさり突き放すなど、トライアルを2つ勝ちながら3冠レースでは結果が出なかった。3歳戦が終わってからは、短距離に照準を定め前走阪神カップで2着。目標はヴィクトリアマイルということで、ここでは距離短縮がカギだが、田辺騎手は確実に手の内に入れている。
その阪神カップを勝ったダノンファンタジーも2000mのGⅡを勝っており、古馬になってからは1600~1800mでもう一つ弾けなかったが、1400mに距離を縮めて結果を出した。初めての1200mとなった前走阪急杯では出遅れながらも徐々に差を詰め、直線では馬込を縫って33秒9で差してきた。阪神カップの時の鞍上に戻って態勢は万全。3年も前のことになるが、デビュー戦ではグランアレグリアの2着だった。
もう1頭、前走シルクロードSで1番人気ながら17着に沈んだモズスーパーフレア。ダートJCBスプリント以来のレースで鞍上乗り替わりのうえ、開催10日目で内が荒れていたことから、得意のコース取りで逃げることができなかった。レシステンシアとの兼ね合いが気になるが、こちらの方は外連味なく逃げる。もちろん逃げ馬は前走の大敗を次に生かす術を知っている。