マスク生活で口まわりが急激に老化する人も(写真/GettyImages)
マスク生活も2年目に突入。「顔が半分隠れるから、メイクやスキンケアを手抜きするようになった」という人も多いだろう。事実、2020年の口紅の売り上げは、前年の5割減になったというデータもある。しかし、「どうせマスクで隠れるから、別にいいわよね」と、下がった美意識のツケは、クッキリと刻まれたほうれい線になって現れる。
化粧直しをする回数も減り、久々にマスクを外して自分の顔を見てみたら、深くなったほうれい線や下がった口角、口の両端からあごに向かって縦に刻まれたマリオネットライン、たるんだ二重あごといった、口まわりの急激な老化にショックを受ける人が増えているのだ。
そもそも、ほうれい線は、表情筋の衰えのほか、目元やほかの部位のしわと同様に、真皮のコラーゲンが減ってハリや弾力がなくなり、頬を支える力が低下することでできる。ミス・ユニバース・ジャパンでの指導経験もある歯科医師・口もと美容スペシャリストで、『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』(集英社)著者の石井さとこさんが言う。
「口元を隠す生活で油断してしまうのに加え、マスクで顔の半分を覆っていると無表情になりやすい。口のまわりをグルリと囲むようにある『口輪筋』は、使わなければ当然たるみます。それにより、ほうれい線はどんどん深くなっていくのです」(石井さん・以下同)
石井さんによれば、日本人は特にほうれい線ができやすい民族だという。
「日本語は、英語やドイツ語などと違って、舌や口まわりの筋肉をしっかり動かさなくても発音できる言語で、そのため表情筋が衰えやすい。日本語を主言語としている人は、普通に生活しているだけでは、口まわりの筋肉の3割程度しか動かせていないのです」
さらに、長引く自粛生活でスマートフォンやパソコンを使用する時間が長いと、猫背になりがちだ。娯楽の少ない巣ごもり生活も、ほうれい線を深くする一因になる。
「表情筋は、顔だけにあるのではなく、首の筋肉とも連携しています。姿勢が悪いと頭を支える首の筋肉が衰えて下がり、それに伴って顔の筋肉も引っ張られ、ほうれい線が深くなります。また、マスクをして猫背でいると、どうしても口呼吸になりやすくなります。すると、舌の筋力が低下して、二重あごも進行します」
舌の筋力が落ちると、食べたものを飲み込む力が落ちて、誤嚥性肺炎のリスクも上がる。油断しきったマスク生活を送っていると、口まわり全体が衰えてしまうのだ。
※女性セブン2021年4月8日号