4月1日のメジャー開幕を前に、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が絶好調だ。オープン戦では4ホーマーで打率6割(3月24日現在)。「1番・投手」で出場した21日のパドレス戦では自己最速の164キロをマークした。
一昨年、昨年はケガに苦しんだ大谷だが、今年は万全の状態で二刀流の勇姿が見られそうだ。
さらに期待されるのは、登板しない日にDHで出場する“日替わり二刀流”ではなく、DHを解除し、投打で同時出場する“リアル二刀流”である。
スポーツジャーナリストで「J SPORTS」MLB解説者の出村義和氏が言う。
「エンゼルスの監督はメジャーで一番の策士と言われるジョー・マドン氏です。最優秀監督賞3 回、カブスを108年ぶりに世界一に押し上げた名将ですが、その奇策ぶりは非常に有名。
現在メジャーに定着した極端な守備シフトを始めた人物で、過去には満塁で相手主砲を敬遠して1点献上しながら勝利したこともあります。
投手起用も柔軟で、カブス時代は左右のリリーフを打者に合わせて交互に起用するため、控え投手に外野を守らせた。彼ならオープン戦同様、大谷を『一番・投手』で起用しても驚きません」
マドン監督が「大谷の攻撃力を最大限に活かすラインアップを考えたい」とリアル二刀流をほのめかせば、大谷自身も、「(味方打線に)点を取ってもらうと大事にしていこうという気になってしまうが、自分で点を取れるならよりアグレッシブにマウンドで攻めていこうという気になる」と前向きだ。
「昨季は60試合のみで、大谷も故障がちだったため極端な采配は難しかったが、今年は例年通り長丁場のシーズンになる。マドン監督は様々なプランを練っているでしょう。
チーム状況次第では打者として先発出場し、途中からクローザーとしてマウンドに上がるシーンも見られるのでは。今年の大谷なら、メジャー最速の169キロ超えも夢ではない」(出村氏)
策士の演出でドラマチックな展開が見られるか。
※週刊ポスト2021年4月9日号