ゆっくり朝食をとり、新聞やニュース番組をチェック。そうして余裕をもって一日の始まりを迎える。もっと早く起きて運動している、という健康志向の人もいるだろう。
10歳以上の男女6万5582人を集計した総務省の「平成28年 社会生活基本調査」によれば、日本人の平日の平均起床時間は6時32分となっている。
年齢別に見ると大学生が多く含まれる20~24歳が7時47分で最も遅く、年齢を重ねるに連れ「早起き」の傾向は強まっていく。50~54歳が6時15分、55~59歳が6時10分、60~64歳は6時8分となっている。
睡眠・認知症予防プログラム中部大学推進センター特任教授の宮崎総一郎医師が言う。
「平均起床時間が6時台になっているのは、朝9時頃までに仕事を始める必要があるからでしょう。サラリーマンなど日本人の多くは6時に早起きすることを半ば強いられている面がある。
加齢とともに早起きの傾向が強まるのは、体内リズムの変化と必要とされる睡眠量の減少が大きな理由です。また、深い眠りが減り、浅い眠りが増えるため、ちょっとした刺激や尿意で目が覚めやすくなる」
この調査からもわかるように、朝6時起床は日本人にとって「当たり前」の習慣だ。しかし、それが健康を損ねるリスクを孕んでいることは意外と知られていない。
2016年、英オックスフォード大学の睡眠・概日リズム神経科学研究所の名誉研究員(当時)だったポール・ケリー博士が科学誌『Nature Communications』で起床時間に関する研究を発表した。
ケリー博士は老若男女の睡眠パターンを詳しく分析。研究に参加した65歳以上の高齢者のデータを解析したところ、「朝6時以前に起きる人は、朝7時以降に起きる人に比べて心筋梗塞や脳卒中など循環器疾患の発症リスクが最大40%高まる」という結果が出た。さらに糖尿病に関しても20~30%ほどリスクが上がったという。