マスクをしているからと、気が緩んで口元のアンチエイジングを怠っている人も多いのでは? でも、人から口元を見られない、しゃべらない。そんな時代だからこそ、トレーニングのチャンスでもあるのだ。
ミス・ユニバース・ジャパンでの指導経験もある歯科医師・口もと美容スペシャリストで、『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』(集英社)著者の石井さとこさんは、口輪筋(口の周りを囲む筋肉。使わないとたるんでほうれい線が深くなるという)を含む顔の筋肉は、どれも細くて薄いため、意識しないとなかなか動かしにくい、と話す。
しかしその一方で、口まわりには顔全体の表情筋の7割が集まっているため、口まわりの筋肉のトレーニングを習慣づければ、顔全体が若々しくなるというのだ。
トレーニングに必要なものは、鏡と一膳の割り箸だけ。割り箸を使うのがもったいなければ、普通の箸や歯ブラシなどを代用してもいい。
【1】まず、割り箸を横にして、左右の長さができるだけ均等になるように犬歯で噛んでくわえる。
【2】その状態で、口角が割り箸より上になるように、口角と頬をグーッと引き上げて笑顔をつくり、10秒間キープする。その後、表情を元に戻す。
1日1回行えば、早ければ2週間ほどで効果が実感できるという。
「表情筋は繊細な筋肉なので、勢いをつけるのではなく、“グーッ”とゆっくり優しく持ち上げるようなイメージで口角を上げてください。割り箸を噛む力は弱くてOKです。
おすすめは、朝の歯磨きの後に行うこと。血流がよくなって、顔のむくみも改善します」
「割り箸より上に口角を上げるのがきつい」「笑顔というより泣いているような顔になる」という人は、日頃、笑顔をつくる意識が足りていない証拠。毎日繰り返して、慣れてきたら、キープする時間を長くしてみるといい。
続けるうちに、ほうれい線は薄くなり、マリオネットラインや二重あごも改善するだけでなく、目がパッチリと大きくなる効果も期待できる。
「口輪筋のまわりには、口角挙筋や大小の頬骨筋など、笑顔にかかわる筋肉が多いので、口輪筋を動かすと、同時に目元の筋肉も連動し、たるんだ目元がスッキリします。
また、意識的に笑顔をつくると、脳は“笑っているということは、私はいま楽しいんだ”と錯覚します。すると、幸せホルモンのセロトニンや、心身を元気にして意欲を湧かせるドーパミンなどが分泌され、ストレスを軽減したり、脳を活性化する働きもあるのです」
セロトニンは、うつの予防や認知機能の改善にも役立つとされている。1日10秒間、口角を上げて笑顔をつくるだけで、若々しさと健康が手に入れられるのだ。
石井さんは、笑顔は若さと健康を引き寄せる最高のエクササイズだと語る。気持ちが沈みがちないまこそ、マスクの下でも、キュッと口角を上げて過ごしたい。
イラスト/中島慶子
※女性セブン2021年4月8日号