自身が文を担当した絵本『会いたくて会いたくて』(絵・長谷川義史さん)も話題の室井滋さん。2014年から『室井滋のしげちゃん☆おはなしラジオ』(FMとやまなど)のパーソナリティーを務め、そこで絵本や昔話の紹介や読み聞かせなどをしている。これまで膨大な数の名作を読んできた室井さんに、「動物が登場」するおすすめ絵本5冊を紹介してもらった。
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『ねこのおんせん』
別役実・作/佐野洋子・絵 (教育画劇)
劇作家の別役さんだけにパンチのきいた風刺が印象的だ。愛猫家の中には、自分の子供や恋人よりも猫の方がかわいいという人は結構いますよね。そうした動物にゾッコンになる人のことをよく観察していて、そこがとても面白い。私自身も思いあたるので、ちょっと薬となるようなお話で、朗読したいなって思います。
『100万回生きたねこ』
佐野洋子・作と絵 (講談社)
今回選ぶに当たって久しぶりに読んだらまた泣けて泣けてしょうがない。とても素晴らしい絵本です。切ないけれども真実を示してくれている。生きていることの深みを感じさせてくれる本で、ここに書かれていることは大人になって誰もが考え感じ入る話だと思います。いままで何匹も猫がいて、何匹も看取ってきていますが、この絵本を読むと、私の亡くした猫たちはどういうふうに思っていたのかな、私のことなんか大嫌いだったかな、とかいろいろ思うんです。いつかこんな絵本が描けるようにと目標にしています。
『ねこのシジミ』
和田誠 (ほるぷ出版)
これも私が大好きな絵本で、和田さんのおうちの日記のようなお話です。和田さんの息子の唱ちゃんが猫を拾ってきて、その仔があまりにも小さくてシジミが落ちているみたいだからと名付けられたその仔と、家族の触れ合いが描かれています。ただ眺めているだけでも、この絵本そのものが猫を抱っこしたときに感じる幸せな気持ちになれる本です。
『アンジュール ある犬の物語』
ガブリエル・バンサン (BL出版)
線画のスケッチのような絵だけで、文字が一切出て来ません。成人した犬がある日突然、ドライブ中に車から放り投げられて捨てられて‥‥悲しい気持ちとそれでも飼い主が戻ってくるんじゃないかという揺れる思いの変化と、絶望した後も生きて行かなければならない苦しみを描いていて、もう見事。泣けて泣けてしょうがないんですよ。この犬に幸せになってもらいたいと祈るような気持ちで毎回読みます。