2月15日に約30年ぶりとなる「日経平均3万円」を記録して以降、激しい値動きが続いている。一時、2万8000円台まで落ち込んだ後、3月18日に3万円台を回復するも、翌週にはまた2万8000円台に急落。
「原因のひとつは『日銀の軌道修正』だと考えられる。黒田東彦・総裁は3月19日、金融政策決定会合後の会見で、日経平均連動型ETF(上場投資信託)の買い入れ除外などを表明した。これまで“日銀が買うから上がる”という考え方で、ファーストリテイリングなど日経平均への影響力が大きい銘柄を買っていた投資家たちが、一気に売り注文を出したと考えられる」(市場関係者)
市場は大荒れだが、“資産運用なんてやらなければいい”とは言えない状況もある。
4月から「70歳就業法(改正高年齢者雇用安定法)」が施行され、企業に70歳まで従業員への雇用機会を提供する努力義務が課される。「定年退職」という考え方が消滅し、“働けるうちは働き続ける”のが当たり前となる時代がやってきた。それはつまり、「公的年金だけでは老後は暮らせない」ということだ。
2019年に金融庁の審議会が「老後資金2000万円不足」報告書を出して大騒動となった。同報告書は、夫婦2人が公的年金だけで65歳から30年間暮らした場合に足りなくなる生活費が2000万円に達するとしており、70歳まで働けば補えるレベルのものではない。「公的年金」と「給料」に加えて“第3の柱”が必要になるわけだ。
ただ、虎の子の貯金を闇雲に株式市場へ投じても、資産を失うリスクが増すだけだ。相場が乱高下するなか、上手くリスクをコントロールしながら資産を増やさなくてはならない。そこで検討したいのが、加入者が毎月掛け金を拠出して運用し、一定期間後に年金として受け取る「私的年金(じぶん年金)」だ。家計に無理のない範囲で積み立てて、リスクを分散していく資産運用になる。