TBSの午前8時台が苦戦を強いられるのは伝統なのか──。TBSは立川志らくの『グッとラック!』に代わり、3月29日から麒麟・川島明と田村真子アナウンサーによる情報番組『ラヴィット!』(平日8時~9時55分)をスタートさせた。しかし、初回の世帯視聴率は2.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)で、テレビ朝日『モーニングショー』の10.6%、日本テレビ『スッキリ』の8.8%、フジテレビ『めざまし8』の6.2%と大きな差が開いてしまった。テレビ局関係者が話す。
「政治から芸能まで扱うワイドショー色を消し、生活情報に焦点を当てる番組作りは、TBSで17年半も続いた『はなまるマーケット』と同じです。とはいえ、『はなまる』が終わった理由をしっかりと分析した上で、『ラヴィット!』が始まったかというと疑問が残る部分もあります」(以下同)
1996年10月に始まった『はなまるマーケット』は生活情報に特化して長寿番組となったが、当時としては異例の内容だった。梨元勝などの名物レポーターが誕生した1970年代後半、民放の午前8時~9時台は突撃取材の芸能情報中心のワイドショー一色だった。1980年代には『FOCUS』『FRIDAY』などの写真週刊誌が誕生し、テレビも負けじと取材合戦が過熱していった。1990年代に入っても、勝新太郎や桜田淳子などの芸能人が追いかけられ、ワイドショーは人気を集めていた。TBSは午前の『モーニングEye』、午後の『3時にあいましょう』『スーパーワイド』が視聴率を取っていた。しかし、1996年にオウム真理教事件を巡る『ビデオ問題』が発覚し、TBSはワイドショーからの撤退を発表した。
「今もそうですが、ワイドショーはどの局も同じようなニュースばかり放送する。『はなまる』は狙ったわけではないとはいえ、そんな番組ばかりに飽きていた主婦層を掴まえた。開始から2年も経たないうちに、数字が伸びていきました。1990年代後半は不況が本格化し始めた時代でしたから、自分の生活に関係のない芸能人の結婚、離婚よりも節約情報などに目が行くようになったこともあると思います。元シブがき隊の薬丸裕英、女優の岡江久美子というコンビが生活情報を伝える意外性もあった。他局にはない構成だったんです」
視聴率の上下動はあったものの、2000年代まで『はなまる』は独自路線を走り、結果を残していた。しかし、対抗馬がNHKから現れた。2010年4月クールから、NHKは朝の連続テレビ小説を15分繰り上げて8時開始に。そして、8時15分から生活情報番組『あさイチ』をスタートさせた。これによって、同じテイストの『はなまるマーケット』は視聴率を奪われることになった。