「この動画で勉強したおかげで偏差値が上がり、第一志望校に入れた」「コロナの状況で休校になったけど、この動画で勉強できて助かった」。さらに「子供の頃に見ていたら、もっと成績が上がったのに」という大人からの声も多い。
これは、チャンネル登録者数130万人を超える教育系YouTuber・葉一さんの動画『とある男が授業をしてみた』を見た人から寄せられた感想だ。
どんな授業をしているのか気になり、のぞいてみると、たとえば小学3年生に教える『算数「小数のしくみ」』の授業では、大人になると忘れてしまいがちな「整数」を、
《6とか12みたいな普通の数字あるじゃん、0とか7とかもそうなんだけど、普通の数字にも実は名前があって、それもここで覚えてください。ちょっと難しい漢字です。画数多いから気をつけてね。整える数と書いて整数(せいすう)というよ》
と、近所のお兄さんから教わっているような雰囲気だ。
葉一さんが動画の授業を始めたのは9年前のことだ。
「それ以前は塾講師をしていましたが、金銭的な問題で塾に通えない子供たちを目の当たりにして、なんとか彼らに学びの場を提供したいと思ったんです。YouTubeは視聴するだけなら無料で見られるので、子供たちも見てくれるのではないかと思って」(葉一さん・以下同)
始めた当初は、教育系の動画はまだ少なかったからか、「YouTubeで授業なんて」「偽善者」などと言われたこともあるという。
「でも、ぼくが見てほしいと思っていたのは『勉強をしたい』という思いを持った子供たちでしたから、『いまに見てろ!』とか思いながら(笑い)、投稿を続けてきたんです」
その思いが次第に子供たちだけでなく、大人にも響き、メディアで取り上げられることも多くなった。
葉一さんの授業が予備校や塾のオンライン授業と違うのは、1回の授業が15分前後と短いことだ。
「教室という限られた空間なら40~50分でも集中できますが、家で動画を見ていると、どうしてもほかに気がいってしまう。でも、15分なら人間の集中力が持続するので、この時間内に収めています」