日本人の常識となっている「1日3食」。NHKが実施した「食生活に関する世論調査」(2016年)では、「1日に平均何食とるか」という質問に対して81%の人が「3食」と答えている。
その“常識”に警鐘を鳴らすのが、『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊)の著者で、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚医師だ。
「日本では昔から『1日3食規則正しく』『腹八分目』などと言われてきましたが、その考えに科学的根拠はありません。むしろ3食は“食べ過ぎ”で、特に糖質を摂取しすぎてしまう。
成人が1日に必要な糖質は170gと言われています。お茶碗1杯の白米が50g程度ですから、ご飯を1日3杯食べれば、それだけでほぼ摂取してしまう。糖質は米以外にも含まれますから摂取過多になり、肥満や高血圧、糖尿病を招く可能性があります」
さらに朝、昼、夜と間を空けずに食事をとると胃腸にも悪影響がある。
「たとえば8時に朝食をとると、昼食をとる12時までに消化しきれない。その状態で昼食を入れれば胃腸が絶えず働かされている状態になり、肝臓や腎臓など他器官への負担も大きくなる」(同前)
青木医師は「空腹時間」が大事だという。
「前日の夜21時に夕食をとって、朝食を抜く1日2食の食生活にするなどして、食事と食事の間に16時間食事をとらない時間を作ってほしい。
16時間空けることで、『オート・ファジー』と呼ばれる細胞の“リサイクル化”が起きます。古いタンパク質を除去して新しく作り直すため、免疫機能が高まるほか腸内環境も整うため、便秘なども改善される」
加齢とともに消化機能の働きは悪くなっていく。これまでの常識を見直す必要があるかもしれない。
※週刊ポスト2021年4月9日号