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松岡茉優は今や「映画界の中心的存在」、新作映画で見せる“凄み”

土屋太鳳とは共演NG状態と言われる松岡(写真/平野哲郎)

若手の“実力派”としてトップを走る松岡茉優(撮影/平野哲郎)

 大泉洋(48才)が主演を務める映画『騙し絵の牙』が3月26日より公開中だ。最初の土日2日間で8万8000人を動員し、興行収入は1億2000万円を突破、映画ランキング4位という好スタートを切った。SNSなどの口コミには「観た後の爽快感がすごい」、「出演者の演技合戦は鳥肌もの」といった声が多く並んでいるが、特に注目を集めているのが、新人編集者役を務める松岡茉優(26才)だ。その理由について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

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 多くの登場人物が入り乱れ、演技合戦を展開し、小気味よいテンポで観る者をひとときも飽きさせない映画『騙し絵の牙』。今年公開された映画の中でも一番の超一級のエンターテインメント作品と言えるだろう。本作は、今年4月に公開された映画『罪の声』の原作者である作家・塩田武士(41才)が、主人公を大泉洋と想定して当て書きしたベストセラー小説を、実際に大泉を主演に迎え映画化したもの。映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007年)、『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、『羊の木』(2018年)など、数々の話題作を手がけてきた名匠・吉田大八監督(57才)がメガホンを取った。

 物語のあらすじはこうだ。舞台は、出版不況の煽りに加え、創業一族の社長が急逝し、次期社長を巡る権力争いが勃発した大手出版社・薫風社。そんな折、廃刊の危機にあるカルチャー誌「トリニティ」の編集長・速水(大泉)が、驚異的な手法で同誌の再起に打って出る。彼は敵対する文芸誌の面々を出し抜き、新人編集者・高野(松岡茉優)や、大御所小説家に新人小説家、人気ファッションモデルらを巻き込んで、“仁義なき騙し合いバトル”を繰り広げるのだ。二転三転する“逆転劇”の連続に、誰もが振り回されること間違いなしである。

 主演の大泉はもちろんだが、彼を囲む俳優陣も魅力的かつ豪華だ。飄々としたキャラクターで周囲の者たちをアッと驚かせていく主人公・速水を大泉が演じるのに対し、彼の身近で誰よりも翻弄される存在として松岡茉優。その他、速水を裏で操ろうとする薫風社・専務役に佐藤浩市(60才)、大御所小説家役に國村隼(65才)、アイドル的に祭り上げられる新人小説家役に宮沢氷魚(26才)、モデル役に池田エライザ(24才)らが配されており、さらに佐野史郎(66才)、小林聡美(55才)らクセモノ俳優が勢揃い。彼らの軽妙な掛け合いが、物語をリズミカルに展開させている。“オールスターキャスト”とはまさにこのこと。その中でも特に熱い注目を浴びているのが松岡だろう。

 松岡といえば、子役から俳優業をスタートさせた存在で、年齢的にはまだ若手ながらも経験は豊富だ。これまでにさまざまなタイプの作品を経て、多くの役を演じてきた。そんな彼女のキャリアにおいて、『桐島、部活やめるってよ』が転機になったというのはよく耳にする話である。同作は、第36回日本アカデミー賞にて最優秀作品賞や最優秀監督賞を受賞した吉田監督の代表作だ。多方面から注目を浴びた作品とあって、その中心人物の一人を演じた松岡の姿も同様に注目を浴びたのだろう。

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