「上皇陛下が天皇に即位した直後、『韓国訪問』が検討されていた」。4月1日、密かに、しかし大きな事実が報じられた。時は平成元年(1989年)4月。当時の宇野宗佑外相は、“即位後の最初の海外訪問先を韓国にしたい”と、韓国側に調整を打診したという。だが、日韓の歴史問題などにより実現は見送られた。
戦後、昭和天皇も上皇陛下もなしえなかった韓国訪問。ウィズコロナの時代では、さらに各国間の壁は高くなり、国家の孤立化、分断化が進んでいる。もし令和の皇室がそこに風穴をあけられたら──その歴史的瞬間を大きく後押しする動きがすでに始まっている。
世界を驚嘆させた雅子さまの外交力
いま、宮内庁では“雅子さまシフト”が敷かれているとみる向きがある。4月1日付で、天皇皇后両陛下を支える側近トップの侍従長に、別所浩郎氏(68才)が着任。別所氏は東大卒業後、1975年に外務省に入省。雅子さまにとっては、東大と外務省の先輩に当たる。
2012年に駐韓大使、2016年には国連大使を歴任。外務省で40年以上勤めた後、2020年1月に宮内庁の侍従次長として、天皇ご一家を支える仕事に就いた。それから約1年半で侍従長への昇進となった。
「皇室へと嫁がれた際、雅子さま自身が『外務省出身』というキャリアを生かせることを期待されていたでしょう。ですが、実際はお世継ぎばかりを期待され、外国訪問もできない。そうして体調を崩された経緯があります。
もちろん、両陛下に人事権はありませんが、両陛下に対する周囲の配慮はあるのでしょう。外務省出身の侍従長ということは、コロナ禍が終息した後、雅子さまが国際親善に積極的に取り組んでいけるよう、サポート体制を充実させる狙いもあると思います」(皇室ジャーナリスト)
今後、雅子さまが安定して活躍できるようになれば、期待されるのは「国際親善におけるご活躍」だ。2019年5月、御代がわりに伴い、雅子さまがその手腕を発揮される機会があった。
「令和初の国賓として来日したドナルド・トランプ前米大統領夫妻の歓迎行事のときのこと。初対面にもかかわらず雅子さまは短時間で打ち解けられ、メラニア夫人には出身国の文化に合わせてチークキスを交わされました。そうした高いレベルでの“外交技術”は海外でも反響を呼び、『ニューヨーク・タイムズ』では“雅子妃はスターだった”と大きく報じられました。
そうした様子を目の当たりにし、特に外務省は雅子さまを『日本の外交の宝』だと実感したといわれています」(日米外交関係者)
その外交力に、次に期待されるのは、両陛下の「訪韓」の実現だという。
訪韓がコロナ禍の閉塞感を打ち破る
冒頭のように上皇ご夫妻はこれまで、訪韓を検討されたことはあるものの、実現には至っていない。