4月に入り異変が続いている。大阪での新型コロナウイルス新規感染者数が、東京を上回っているのだ(7日現在)。感染の急拡大に伴い、「まん延防止等重点措置」が大阪、兵庫、宮城の3府県6都市を対象に5日から始まった。その前日、大阪の吉村洋文知事は全国知事会でこう危惧した。
「変異株における感染拡大、これは非常に速い速度で広がることは間違いない」
兵庫県知事も1日の記者会見で「従来のウイルスから変異株への置き換えが、ほかの地域より先行しているのではないか」と危機感を示した。
実際、厚労省の発表によると、3月30日までに国内で累計678例の変異株への感染が確認されており、そのうち兵庫が181人、大阪が130人を占めた。東京が18人しかいないことを考えると、その数は抜きんでている。
同じまん延防止等重点措置がとられた宮城でも4月3日、8人が変異株に感染していたことが発表されるなど、地方都市に変異株が広がっている。感染者急増の一因は、変異株にある──昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが言う。
「大阪や神戸はすでに変異株による『第4波』を迎えたといっていい。大阪は6割、兵庫も8割が変異株で、そのほとんどが英国型です」
新型コロナの変異株には「英国型」「南アフリカ型」「ブラジル型」などがあり、いま、日本国内で猛威を振るっているのが英国型だ。先の厚労省の調査でも、国内事例678例のうち英国型が627例を占め、南アフリカ型が15例、ブラジル型は36例だけだった。
「日本で英国型が流行している理由は、単純に『早い時期に入ってきたから』です。昨年9月にイギリスで感染が発覚し、年末に大流行しました。そのとき、ジョンソン英首相は『変異株が危険だ』と声明を出しましたが、日本はイギリスからくる人だけを止めるという中途半端な水際対策しか取らなかった。そのため、イギリス以外を経由して変異株が流入し、拡散したのです。
英国型の感染力は従来型の1.7倍ですから、今後、第3波よりも激しい増え方をすると考えて、早めの対応をするべきです」(二木さん)
英国型は死亡率も高い。世界保健機関(WHO)は、「重症・死亡リスクも高い可能性がある」としており、英エクセター大学などの研究チームによる調査では、英国型の死亡率は1000人当たり4.1人だった。従来型の1000人当たり2.5人と比べると、実に1.6倍なのだ。
※女性セブン2021年4月22日号