新型コロナウイルス感染防止のために、大勢での会食を控えるように呼びかけられているなか、厚労省の役人23人が飲み会を開いていたことが発覚した。彼らは一体どうしてそんな飲み会を開いてしまったのだろうか。体験取材でおなじみの“オバ記者”こと、ライターの野原広子が役人たちの気持ちを推察する。
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オバ記者として、年がいもないお転婆をして記事を書くと同時に、さまざまな人の離婚・不倫・職場の愚痴を聞いてきた私。他人の不幸は蜜の味というけれど、仕事もそう。
世間的にあまり知られていない仕事をしている人から、その内実を聞くほど楽しいことはなくて、知れば知るほど、世の中や時代の輪郭が見えてくる。
な~んて、偉そうなことをいうほどの記者でないのは、ハイ、皆さま、ご存じの通り。好奇心は人並み以上だけど、話を聞くだけで完全燃焼しちゃって、書く余力が残っていないのよ(笑い)。でも、今度ばかりはちょっと違う。
厚労省の官僚23人が銀座の居酒屋で飲み会を開いて、ワイドショーで袋叩きにあったでしょ?
「コロナ禍の中、国民を指導する立場の省庁の役人が深夜まで居座り酒? 何やってんだ!」って、まったくそう! 「何か言い分があるなら、ツラ並べて言ってみやがれっ」と私、テレビに向かって毒づいたもの。
で、その直後、なぜ彼らがそんなことをしたか、ちょっとわかっちゃったんだ。
さまざまな人から取材をしたと言ったけど、実は霞が関の役人とはこれまでまるで縁がなくて、お見合いパーティーや、飲み屋のカウンターに並んで座ったことすらない。それが60才を過ぎて議員会館でアルバイトを始めたら、「ああ、聞いたことあるわ」くらいのレベルだった省庁の役人が、たえず事務所に現れるようになったんだわ。
私がバイトで仕えている代議士は、国会で答弁をする前に、関連した省庁の役人からレクチャーを受けるんだけど、会議室のテーブルに着く役人と、たとえ席が空いていても並んだ椅子から頑なに動かない役人がいるの。お茶出しをする私からすれば、お茶の置き場がなくて困るわけよ。
で、そのうちにわかったの。テーブルに着いて代議士と話す人たちはキャリア官僚で、椅子席がノンキャリアだって。時代劇じゃないんだから、と笑うにはあまりに真剣な顔してやっているから、アルバイトの私は引っ込むしかない。
そうして3年目を迎えたこの春のこと。ある日、気づいたら議員会館のエレベーターホールの雰囲気がヘンなんだわ。
30代半ばのお役人の、まぁみすぼらしいことといったら、センス以前の話。みんな、男盛り・女盛りのはずなのに、若い女性役人なんぞは、膝丈のスカートの下から裏地がベロ~ンとのぞいているではないの! ある役人は書類の束をドでかいトートバッグに入れて持っているし、そうでなくても独特の雰囲気があるから、見ればすぐわかるのよ。