イギリス型にブラジル型、南アフリカ型と世界各地で新型コロナウイルスの変異株が見つかっている。この変異株はどのようなもので、どう対処すればいいのだろか。
小林よしのり氏(漫画家)と宮沢孝幸氏(京大准教授・ウイルス学者)の対談本『コロナ脳』(小学館新書)より、変異株について宮沢氏が解説した部分を抜粋して掲載する(対談は2021年1月下旬に行なわれ、情報はその時点のもの)。
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小林:今、マスコミは変異株で大騒ぎしているよね。「イギリスで変異株が出た」「日本でも感染者がいた」と大騒ぎして、ものすごく恐ろしいもののように報道しているんだけど、実際はどうなの?
宮沢:答えるのがけっこう難しい問題なんですけど、変異というのはいくらでも起こります。私がコロナウイルスにかかったとして、鼻だの喉だのいろんなところで増殖したとすると、私の体の中で変異したウイルスが何種類も見つかると思います。
小林:2週間に1回変異すると言われているけど。
宮沢:2週間じゃないです。変異そのものは体の中で毎日何回も起きています。
ただ、変異したウイルスを遺伝子解析すると、何か所か変異が入っているんだけど、特徴的な配列がある、共通して変異が入っているところがあって、それで系統樹を書いて、何々系統、何々変異型と分けているんですね。たとえば、イギリスで特定の系統だけがぱぁーっと広がったから、変異型が出たと。変異はしょっちゅう起きているけど、その中で特定の系統だけが広がったから、出た出たと言っている。遺伝子配列の501番目のアミノ酸が変わった型が、イギリスだけでなく南アフリカにもあった、ブラジルにもあった、日本にもあったという話なんですよ。その系統がイギリスで増えて、全世界40か国ぐらいで確認されている。
じゃあ日本でも広がるんですかって聞かれても、そんなのわかりません。日本株のほうが強い可能性もあります。