コロナ禍をきっかけに「断捨離」がブームになっている。「捨て去りたいもの」は、家にある不要なものだけでなく、「不要な仕事」、「不要な人間関係」にまで及ぶという。自分にとって本当に必要な時間を大切にできるように──。そう願う人の間で人気なのが、縁結び神社ならぬ「縁切り神社」だ。
まずは、「押さえておきたい縁切り神社でのお作法」について、縁切り神社に詳しい神話学の専門家・國學院大學教授の平藤喜久子さんが疑問に答える。
【1】ネガティブなことはお願いしない
「人の不幸を願うような形で縁を切ろうとするのは、神社のお参りとしては正しくないです。『あの人がこの世からいなくなればいいのに』といった、ネガティブなお願いはしないようにしましょう」(平藤さん。以下同)
【2】ネガティブな絵馬を見てしまったら……
縁切り神社には鬼気迫る内容の絵馬がかかっていることがあり、悪い気持ちをもらってしまうことも。
「そんなときはもう一度お参りしてから帰りましょう。その際、参拝前に行う手水で、改めて手を清めてからお参りすること。その後はもう振り返らないで一目散に帰ってください(笑い)」
【3】コロナ禍で手水舎が使えない神社が多いのですが、どうしたらいいですか?
「除菌スプレーが置いてあるところもありますが、気になるかたはお清めの塩を持参して、足元に少し振りかけてからお参りするのがおすすめです」
良縁と出会える“縁切り神社”
ここからは、人間関係だけでなく、病気や肥満などの面倒なご縁とオサラバできる縁切り神社を紹介しよう。「ネガティブな自分と縁を切って、好きな人ができますように」と切に願う女芸人、尼神インターの誠子さんの解説も。
●昭和の名優が悪習慣を改め大役を得た
小野照崎神社(東京)
「ご祭神は平安時代きっての学者で政治家、貴族でもあった小野篁命。ご配神(ご祭神以外の神様)には学問の神・菅原道真命を祀っています。勉学や芸能の神社として知られ、俳優の渥美清さんが参拝後に寅さん役を得たという逸話が有名。神様の前で、『縁を切りたいもの』を表明することで、ご利益が強まるといわれています」
〈縁切りエピソード〉
「俳優の渥美清さんが“たばこを断つことを誓うので、いい役がもらえますように”とお願いをして、『男はつらいよ』シリーズの寅さん役のオファーが来たといわれています。たばことの悪縁を切って、新たな仕事のご縁をもらったという好例ですね」
住所:東京都台東区下谷2-13-14
ご祭神:小野篁命
ご利益:学問、芸能、仕事など