テレビ局の女子アナになるには、かなりの狭き門をクリアする必要がある。女子アナ就活に受かるためには、もちろんアナウンス技術が高いに越したことはないが、だからといってそれだけで受かるわけではない。
アナウンススクールでは「技術を通して何を学ぶかが大切」だと話すのは、テレビ朝日のアナウンススクール・テレビ朝日アスク校長の寺崎貴司アナ。アナウンススクールで学ぶべきことは何なのかを寺崎アナが語る。
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アスクではレベル別に様々な講座を設けています。腹式呼吸や発声などアナウンスの基本から学ぶ「基礎科」、就活を意識してより実践的な技術を学ぶ「研究科」を軸に、目的別に技術を磨く「専科」「試験対策」などですが、アナウンススクールの目的は必ずしもアナウンス技術を学ぶことだけではありません。技術を習得することを通して、コミュニケーションの能力を培うことが主目的だと考えています。
自分の考えや見聞きしたこと、感じたことをわかりやすく人に伝える能力、相手の意思を汲みとって返答する能力。それらを鍛えるためにアナウンスの技術を活用するのです。どんなに素敵な志を抱いていても相手へはっきりと声が届かなければ、自分の考えを伝えられません。そのために基礎科から学んだ腹式呼吸の発声法が役立ちます。
アナウンサーの採用試験に限らず、どんな企業でも面接試験があります。社会へ出れば、職種を問わず高いコミュニケーション能力が助けともなる。コロナ禍で社会が変わってリモートワークも多くなった今はより一層、コミュニケーションスキルが問われる時代となりました。自分の夢を叶えるためのひとつの武器として、「伝える力」を身に付けてもらえればと思います。
【プロフィール】
寺崎貴司(てらさき・たかし)/立教大学卒業、1985年入社。『はい!テレビ朝日です』担当、テレビ朝日アスク校長。
撮影/高橋定敬
※週刊ポスト2021年4月16・23日号