現在の子供たちは、デジタルネイティブな世代だ。生まれながらにして、インターネットが身近にあり、幼い頃からスマホやパソコンでネットを駆使して、さまざまな情報にアクセスする。
ネットには少なからず悪影響もあるが、一方で学習のIT化は着々と進む。
「プログラミングかいし!」「まえにいくよ」「みぎにいくよ」「とうちゃく!」
朗らかな声を上げてカラフルな地図上を進むのは、雑誌『小学一年生』5・6月号の付録「プログラミングタケコプター」。進行方向のボタンを押すと、その指示通りにドラえもんがしゃべりながら動いていく。同誌の長竹俊治編集長が言う。
「小学校でプログラミングの授業が始まったこともあり、ドラえもんで楽しく学習してもらうため付録にしました。いまの子供たちはさまざまなデジタルデバイスに慣れ親しんでいるため、付録も常に進化させる必要があります」
長竹編集長が語る通り、2020年に改訂された小学校の学習指導要領では、プログラミング体験が必修化された。教育研究家の妹尾昌俊さんはこう語る。
「とはいえ、学ぶ中心になるのはプログラミング言語そのものでなく、その体験を通じて論理的思考力等を身につけること。
新指導要領では知識を増やしながら自分なりに考えて問題解決する能力が求められており、これまでは教科書や黒板に書かれていることをノートに取って暗記すればいい成績が取れたかもしれませんが、これからは自主的に解決すべき問題や興味のある分野を探し主体的に学ぶ『アクティブ・ラーニング』が重視されます」(妹尾さん)
大正時代から子供に寄り添い続け、創刊96年目を迎えた『小学一年生』も時代に合わせた誌面作りを進めている。
「いまの小学生が生きていくAI化やデジタル化がさらに進むこれからの世の中では、テストで数値化できる能力だけでなく、好きなものや得意なことを見つけ、それを磨いて身につける、その人にしかない個性の力が重視されるように思います。それが何なのか、見つけられるヒントになるように、誌面にはアートや料理、工作、言葉遊び、漫画などさまざまなジャンルを組み込んでいます。
付録目当てで読み始めた子供が1つでも夢中になれるテーマと出会えるとうれしいですね」(長竹編集長)
しかし子供たちの数は年々減り続けている。
文科省の学校基本調査によると、2020年5月時点で全国の小学生は約630万1000人。31年連続の減少で、過去最少を更新した。
だが、減少したがゆえに、かえって子供が注目されるようになった現実がある。
「少子高齢化が進み、両親だけでなく両方の祖父母も子育てに参加するようになり、小学生マーケットは大きな広がりを見せています。付録が充実した4月号と5・6月号は1980円と決して安くはありませんが、『小学一年生』も売れ行きが好調です。祖父母世代が孫に入学祝いとして贈答用に購入する例も多く聞いています」(長竹編集長)
撮影/矢口和也
※女性セブン2021年4月22日号