国内

付録もIT化 創刊96年の『小学一年生』、時代に合わせた誌面作り

『小学一年生4月号』の誌面にはマスクをつけて学校生活を楽しむ子供の写真も

『小学一年生4月号』の誌面にはマスクをつけて学校生活を楽しむ子供の写真も

 現在の子供たちは、デジタルネイティブな世代だ。生まれながらにして、インターネットが身近にあり、幼い頃からスマホやパソコンでネットを駆使して、さまざまな情報にアクセスする。

 ネットには少なからず悪影響もあるが、一方で学習のIT化は着々と進む。

「プログラミングかいし!」「まえにいくよ」「みぎにいくよ」「とうちゃく!」

 朗らかな声を上げてカラフルな地図上を進むのは、雑誌『小学一年生』5・6月号の付録「プログラミングタケコプター」。進行方向のボタンを押すと、その指示通りにドラえもんがしゃべりながら動いていく。同誌の長竹俊治編集長が言う。

「小学校でプログラミングの授業が始まったこともあり、ドラえもんで楽しく学習してもらうため付録にしました。いまの子供たちはさまざまなデジタルデバイスに慣れ親しんでいるため、付録も常に進化させる必要があります」

ドラえもんの「プログラミングタケコプター」が付録の『小学一年生5・6月号』

ドラえもんの「プログラミングタケコプター」が付録の『小学一年生5・6月号』

 長竹編集長が語る通り、2020年に改訂された小学校の学習指導要領では、プログラミング体験が必修化された。教育研究家の妹尾昌俊さんはこう語る。

「とはいえ、学ぶ中心になるのはプログラミング言語そのものでなく、その体験を通じて論理的思考力等を身につけること。

 新指導要領では知識を増やしながら自分なりに考えて問題解決する能力が求められており、これまでは教科書や黒板に書かれていることをノートに取って暗記すればいい成績が取れたかもしれませんが、これからは自主的に解決すべき問題や興味のある分野を探し主体的に学ぶ『アクティブ・ラーニング』が重視されます」(妹尾さん)

 大正時代から子供に寄り添い続け、創刊96年目を迎えた『小学一年生』も時代に合わせた誌面作りを進めている。

「いまの小学生が生きていくAI化やデジタル化がさらに進むこれからの世の中では、テストで数値化できる能力だけでなく、好きなものや得意なことを見つけ、それを磨いて身につける、その人にしかない個性の力が重視されるように思います。それが何なのか、見つけられるヒントになるように、誌面にはアートや料理、工作、言葉遊び、漫画などさまざまなジャンルを組み込んでいます。

 付録目当てで読み始めた子供が1つでも夢中になれるテーマと出会えるとうれしいですね」(長竹編集長)

 しかし子供たちの数は年々減り続けている。

 文科省の学校基本調査によると、2020年5月時点で全国の小学生は約630万1000人。31年連続の減少で、過去最少を更新した。

 だが、減少したがゆえに、かえって子供が注目されるようになった現実がある。

「少子高齢化が進み、両親だけでなく両方の祖父母も子育てに参加するようになり、小学生マーケットは大きな広がりを見せています。付録が充実した4月号と5・6月号は1980円と決して安くはありませんが、『小学一年生』も売れ行きが好調です。祖父母世代が孫に入学祝いとして贈答用に購入する例も多く聞いています」(長竹編集長)

『小学一年生4月号』付録の「ドラえもん おしゃべりめざましどけい」

『小学一年生4月号』付録の「ドラえもん おしゃべりめざましどけい」

撮影/矢口和也

※女性セブン2021年4月22日号

関連記事

トピックス

初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
ピーター・ナバロ大統領上級顧問の動向にも注目が集まる(Getty Images)
トランプ関税の理論的支柱・ナバロ上級顧問 「中国は不公正な貿易で世界の製造業を支配、その背後にはウォール街」という“シンプルな陰謀論”で支持を集める
週刊ポスト
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン