コロナ禍でアーティストたちは表現手法の制約を強いられた。「女体の美しさ」をテーマに撮影を行なう写真家の七菜乃は、大人数での撮影ができなくなったことで、パソコンやスマホを使って在宅の被写体とつながり、遠隔指示で撮影する手法を編み出した。
「おうちは素晴らしいスタジオになってくれたし、何よりコロナで精神的に衰弱していた私自身が“女体”と彼女たちとのコミュニケーションによって助けられた。その後、緊急事態宣言が解除され、実際に女性たちのおうちに足を運んでちゃんと撮りたくなりました」
これまで同様、モデルは七菜乃自身がSNSで募集をかけて「撮られたい」と志願した女性たちだ。
「裸体に意味はありません。けれど、自ら裸体を撮られたいという意思を持った彼女たちはとても美しい。ただそこにある美しさを見てほしいです」
プライベートな自宅空間でくつろぐ女性たちの姿は、生き方そのものが写し撮られ、ひときわ美しい。
【プロフィール】
七菜乃(なななの)/モデルを務める一方、自らカメラを持ってセルフポートレートや他の女体を撮影する。『七菜乃 写真作品集 My Aesthetic Feeling』(芸術新聞社)などが好評発売中。撮影に協力してくれる成人女性を募集中。詳細はツイッター@nananano7nano、インスタグラム@nananano.nano
撮影/七菜乃
※週刊ポスト2021年4月16・23日号