「中6日なら先発は135球で完投すべき」。巨人の桑田真澄投手チーフコーチ補佐は1月の就任時からこう訴え、先発に球数と完投を意識させてきた。はたして、その効果は出ているのだろうか。
ローテーションが3周した18試合消化(4月15日)時点で、巨人の昨年と今年の先発の球数、イニング数を比べてみよう。
【2021年】9勝6敗3分
110球以上:8人、110球未満~100球以上:5人、100球未満:5人
7回以上:12人、7回未満:6人
【2020年】10勝7敗1分
110球以上:2人、110球未満~100球以上:3人、100球未満:13人
7回以上:3人、7回未満:15人
完投数は昨年と今年ともに1で変わらないものの、球数とイニング数は圧倒的に今年のほうが多くなっている。桑田コーチの意識付けが早くも形となって現れている格好だ。
昨年はイニング数関係なく、ほとんどの先発が100球前後で降板していた。110球以上投げたのは7月3日中日戦の菅野智之(122球・完投)、7月9日阪神戦のメルセデス(112球・6回3分の2)のみだった。
しかし、今年は100球を超えても、もう一踏ん張りさせている印象だ。特に、期待の若手が成果を挙げている。今村信貴は3試合中2試合で110球以上を投げ、3度目の4月11日の広島戦で142球完封勝利。高橋優貴は3試合全てで110球以上、7回以上を投げ、未だ自責点1に抑えている。畠世周は初先発の4月7日の阪神戦では3回途中でノックアウトされたものの、14日の中日戦では完封、完投こそ9回に逃したが、121球で8回3分の1を投げた。
菅野、戸郷翔征に次ぐ若手の台頭で、投手陣が確実に底上げされている格好だ。
先発が長いイニングを投げることで、リリーフ陣の負担も減っている。
昨年は18試合時点で、先発含め3投手以下で乗り切ったのは4試合だけだったが、今年は10試合と2.5倍増に。逆に5投手以上使った試合は、昨年の10から5と半減。1試合平均投手起用人数は4.78から3.44と少なくなっている。
主力打者に新型コロナ陽性者が出たこともあって、12試合連続3得点以下という球団ワーストタイ記録を作りながらも、2位に位置している要因は先発投手陣の奮闘にあるのではないか。
現段階で、早くも桑田コーチの意識改革がチームに浸透し、結果が出始めている、と言っていいだろう。