オープン戦で6本塁打を放って“本塁打王”になり、開幕当初から注目を一身に浴びている阪神のルーキー・佐藤輝明(22)。4月9日の横浜戦では今季3号となる右中間スタンド越えの場外弾を放ち、球界を騒然とさせた。
その一方で気になるのが、三振の多さだ。58打席で12球団断トツの24三振(4月13日時点)。三振率40%は、ブライアント(近鉄)が1993年に1シーズン最多の204三振をマークした時の三振率(37%)を上回る。
別の“数字”も注目されている。折ったバットの本数だ。
3月31日の広島戦では1試合で3本、代打で起用された4月4日の中日戦でも、バットを折ってライトフライに倒れた。本誌・週刊ポストが確認したところ、開幕からすでに試合で5本折っている(4月13日現在)。
「ボールを芯でとらえればまず折れることはなく、シーズン10本以下の選手も少なくない。佐藤選手はこのままだと年間50本を超えるペースなので、こちらも12球団トップとなりそうです」(スポーツメーカーのプロ野球担当者)
しかし、阪神・近鉄などでコーチを務めた野球評論家の米田哲也氏は「それが佐藤の魅力」と評価する。
「バットが折れるのは、内角球がバットの根っこに当たっても構わずにフルスイングしているから。普通は当たる瞬間にスイングを緩めてしまうが、それをしないのは凄い。私が対戦した中では中西太さんと山内和弘さんに近いね。
あのクラスの人たちでも、2ストライクに追い込まれるとヒット狙いでバットを当てに行くことが多かった。だが、佐藤君は追い込まれても思い切り振ってくるから、投手にとっては怖い存在。本当に楽しみなバッターだよ」
前出のスポーツメーカー担当者が言う。
「佐藤選手にバットを提供しているメーカーは、佐藤選手に大スターになって選手モデルのグラブやバットで売り上げに貢献してほしいと思っているはずですから、たとえバットを100本折ってもホームランをガンガン打ってほしいところでしょうか」
折った数だけ強くなれるよ!?
※週刊ポスト2021年4月30日号