新型コロナウイルスのワクチンの一般向け接種が、4月12日から高齢者を対象としてスタートした。ワクチンさえ接種すればコロナはもう怖くない──そんな声も上がっているが、まだまだ考えるべきポイントはある。
「いまはまだ1種類だから議論が白熱していないですが、事情に明るい関係者は『どのメーカーのワクチンが安全か』という会話で盛り上がっています。知り合いの医師に『○○社製のワクチンを入手したら教えてくれ』と依頼する富裕層も多い」(医療関係者)
“いつ”自分が打てるのか、だけでなく、“どれを”自分が打つのかも考える必要があるということか。現在、日本で接種できるのは米ファイザー製のワクチンだけだが、5月頃には、新たに米モデルナ製と英アストラゼネカ製のワクチンが承認される見通しだ。
世界各国でワクチン争奪戦が熱を帯びる中、アストラゼネカ製のワクチンが波紋を広げている。イギリス政府の4月7日の発表によると、同社製のワクチンを接種した79人に副反応とみられる血栓症が生じ、うち19人が死亡した。
同社製のワクチンはすでに世界中で接種制限が相次ぎ、デンマーク、ノルウェー、カメルーンなどはワクチン接種を完全に中断し、オランダ、スペイン、ポルトガルは接種を60才以上に制限した。韓国も30才未満には接種しないことを決定している。こういった事態を受け、菅義偉首相は12日、「詳細な情報を収集し、承認の可否や使用条件を判断する」と述べた。
今後、日本でも承認される可能性もあるアストラゼネカ製のワクチンについて、太融寺町谷口医院院長の谷口恭氏が指摘する。
「日本人はもともと血栓のリスクは高くないですが、肥満体形のかたや、女性でピルを服用されているかたなど血栓リスクのあるかたは避けた方がいいかもしれません」
さらに日本ではまだ承認されていないが、今後ワクチン不足に陥った場合に入ってくる可能性のあるワクチンの中で新たな副反応が報告されているものがある。韓国が4月7日に承認をした、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が製造したワクチンだ。
4月8日、米ノースカロライナ州で住民2300人にJ&J製のワクチンを接種したところ、18人に「強めの副反応」が生じ、なかには失神する人も現れた。このため、米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)は13日、接種を一時止めるように勧告した。