中国の若手女優で歌手でもある高溜(ガオ・リュウ)さんが昨年10月、顔の美容整形手術を受けたところ、鼻の先端部分が黒く壊死する被害を受け、その整形外科病院を訴えた。しかし、手術を行った自称・整形外科医は医師免許を持っていないことが判明した。病院を管轄する広東省の広州市政府保健委員会は、「整形外科病院は半年間の営業停止、担当した偽医師は4万9000元(約82万円)の罰金」との裁定を下した。
この裁定に対して、高さんは「精神的にも経済的、仕事上でも大きな被害を被った。あまりにも不当な裁定だ」と強い不満を示した。インターネット上でも、「このような悪質な整形外科は締め出すべきだ」などと激しい批判が起きている。
高さんは最近最も期待されている女優のひとりで、多くの映画やテレビ番組に出演していた。しかし、鼻先が壊死した写真をネット上で公開したところ、約500万人が閲覧し、テレビや新聞で大きく取り上げられるなど、大きなニュースとなった。
高さんは手術後、2カ月の入院を余儀なくされ、仕事の上ではドラマ出演料など40万人民元(約650万円)の損失をこうむったほか、映画などの出演契約に反したために違約金200万元(3340万円)の支払いを求められているという。
このため、高さんは「美容外科医院はこれらの金額なども払う責任がある」などと広州市政府保健委員会に再度の裁定を求めている。
ネット上でも「営業停止が半年なんて短すぎる。保健委員会の裁定はあまりにも軽い」と当局の裁定に対して、強い不満も出ている。
このほかにも、「中国の美容外科のレベルは非常に低い。多くの人が同じような被害にあっている。美容外科業界を厳しく取り締まるべきだ」と中国の美容手術全般に対する規制の強化を求める声が出ている。
中国では美容整形手術の需要が高まっているが、2019年には正規の美容整形クリニック約1万件に対して無資格クリニックは6万軒あるとの推定もあり、規制はなかなか進んでいないという。