4月初旬、都内で仕事を終えたシンガーソングライターの桑田佳祐(65才)が、10人以上のスタッフに囲まれて出てきた。アディダスのシルバーのジャージに、コンバースのスニーカーという王道スポーティーファッション。近年は体調も万全で、昨年からの新型コロナウイルス禍でも、サザンオールスターズでのパフォーマンスを含めて、無観客ライブを3回も開催するなど、精力的に活動している。
そんな桑田が、3月7日のブルーノート東京での配信ライブ『静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~』で初歌唱した曲『SMILE~晴れ渡る空のように~』が、密かな話題となっている。
桑田を知るレコード会社関係者は「この曲は、2020年1月に全国民放114局同時生放送という特別番組で発表された、2020年東京オリンピック民放共同企画『一緒にやろう2020』のテーマソングです」と説明する。
桑田本人も「新国立競技場が目の前に見えるレコーディングスタジオで、老体にムチ打って頑張ります!」と宣言して、一念発起で制作した力作だ。
しかし、コロナで五輪は1年延期され、現在でも開催には賛否両論が飛び交う状況。「声高に五輪を応援できない3月上旬に、桑田さんはソロライブでこの歌のフルバージョンを初披露しました」(前出・レコード会社関係者)
しかも、聖火リレーのスタート日の前日3月24日夜には、日本テレビ系音楽の祭典番組『Premium Music 2021』で、同ライブでの歌唱シーンを全国に公開した。
「タイミングを意図していたかは分かりませんし、五輪の開催の是非を問う意味では無かったと思いますが、『今だからこそみんなで一緒に』という思いは込められていた」と、日本テレビ関係者は話した。
また、前出のレコード会社関係者は「桑田さんは『コロナに打ち勝つ五輪になりかけているが、今も僕は復興五輪と思っている』と言っています。東日本大震災からの東北復興を念頭に置き続けているのです」とも話す。
まさに桑田から東北への、国民への、そして五輪出場選手たちへの応援ソングだ。
この曲がさらなる陽の目を浴びることになるのか。4月に入っても、五輪開催の可否はいまだに出ていない。多くの人の思いがある中で、日本にとっての大きな決断は、もうすぐそこにまで迫っている。