マンションを購入する際の選択肢として、立地や広さ、価格はもちろんだが、売り主や施工会社のネームバリューを重視する人も多いだろう。だが、いくら大手企業が手掛けたマンションだからといって欠陥がないとは限らない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、マンション購入に潜むリスクについて解説する。
* * *
先日、某週刊誌が財閥系大手不動産会社が売り主となった都心のタワマンが、わりあい深刻な「欠陥住宅」であることを報じていた。じつは私もその記事にコメントを提供したので、取材を受けた段階からあらましを把握していた。
普通に考えれば「え、本当に?」とつぶやいてしまうような事象である。何年もの間、新築マンションの供給戸数では1位を続けた財閥系大手の不動産会社が売り主で、施工は一部上場の名の知れたゼネコン、という取り合わせ。それが建築基準法を満たさない建材を使用したり、明らかな施工不良と断定できる状態のタワマンを建設し、販売していたのだ。
そのマンションは建物が竣工してから約2年が経過しているので、すでに多くの人が住んでいる。
「上下左右から様々な生活音が漏れてくる」
ある居住者は、そう訴えたという。記事によれば、売り主企業は施工不良を認めているという。買い戻しや慰謝料の支払い、補修の提案も行っているようだ。
多くの人にとっての衝撃は、大手不動産会社が売り主となっているタワマンで、このように明らかな施工不良が露見したことだろう。
私は首都圏や関西圏で販売される新築マンションの資産価値について、あれこれとモノをいうことを生業としている。時に一般消費者からマンション購入や売却についての相談を承る。
よく聞かれることは、「どこの会社のマンションを買えば安心できますか?」といったことだ。はっきり言って、今回のような施工不良はどれほど名前が知られた一流企業でも起こり得る。また過去にも例がある。