4月22日に地球を出発し、国際宇宙ステーションに向かう星出彰彦氏(52)が、出発前にインタビューに応じた。日本人2人目となる船長としての宇宙滞在をどのような心境で迎え、宇宙でどんなミッションをこなすのか。日本人宇宙飛行士の歩みを、『宇宙から帰ってきた日本人』の著書があるノンフィクションライター・稲泉連氏が聞いた。
“宇宙船の進化”で新時代の到来を実感
──出発の日が近づいてきました。宇宙での仕事は3度目となりますね。
楽しみにしているのは、やはり新しい宇宙船・スペースXのクルードラゴンに乗ることです。私が搭乗経験のあるスペースシャトルとソユーズには、覚えなければならない無数のスイッチと機能がありました。一方、クルードラゴンはほぼ全てが自動化されており、操作はタッチパネルとなります。まるでスマホのような船内で訓練していると、有人宇宙開発がまさに新しい時代に入ったことを実感するんです。
また、2度目の飛行の際に印象的だったのは、無重力状態になったとき、自分の体が「宇宙」を覚えていたことです。前回の飛行から12年弱の時間が経っていますが、それでも「地上モード」から「宇宙モード」に体の感覚がすぐに変わり、その環境に対応できるのかに興味を持っています。
──新型コロナウイルスの流行で、訓練にも様々な制約があったのではないでしょうか。
今回、私たちの現場でも訓練の多くがリモート化されました。制約の中で従来と同様の目標を達成してきた経験は、これからの有人宇宙開発にとっての大きな経験になっていくでしょう。世界的に大変な状況が続きますが、私たち人類は様々な困難を乗り越える知恵を持っている。コロナ禍において宇宙でのミッションを成し遂げることは、その力を示す一つのテストケースだともとらえています。