小中学生の学校の環境や過ごし方は、親世代が通っていたころと今とでは、大きく異なるものになっている。そこで、親世代が小中学生だった昭和や平成初期にはあったが、令和の小中学校から消えてしまったものを紹介しよう。
LL教室はなくなりパソコン教室に
英語学習のために使われてきたLL(Language Laboratory)教室は、オーディオ機器やシステムの老朽化が原因で廃止に。
「LL教室に代わる特別教室・コンピューター室では、Zoomを使ったオンライン授業を行うこともあります。ほかの学校に在籍されている専門性の高い先生の授業をライブで受けたり、大学教授による特別授業を受けたりすることも」(中学校教諭A)
ネット石鹸からハンドソープに
手洗い場などでおなじみのネットに入った石鹸は、コロナの影響から、プッシュ式のハンドソープに取って代わられた。
「登校後、体育後、給食前など、先生が誘導して1日に何回も手洗いタイムがあるそうです。先生も子供たちも大変ですよね」(小2保護者)
白線用の消石灰がスポーツ石灰に
運動会や体育の授業、部活などに使われてきたグラウンド用の白線も、材料が変わっている。
「昔の白線の原材料は消石灰で、土の酸度調整をするための強いアルカリ性のものでした。そのため、目に入ったりすると健康上よくないと文部科学省からの指導があり、より安全な炭酸カルシウムが使われるようになりました。名称も、スポーツ石灰といいます」(中学校教諭A)
焼却炉が姿を消した
2000年にダイオキシン類対策特別措置法が施行されて以来、焼却炉の使用は禁止されている。
「学校で出るゴミは一般家庭と同じく、分別して捨てています。使わなくなった焼却炉は撤去や処分した学校がほとんどですが、もし焼却炉が残っていても、そこで物を燃やすのは消防法に違反するのでNGなんです」(小学校教諭B)
わら半紙が姿を消した
ざら紙ともいわれ、長らく学校での印刷物に使われてきたわら半紙だが、令和の時代にその姿を見かけることは皆無となった。
「いちばんの理由は、わら半紙の値段が高騰したから。いまは上質紙より高級なんです。児童に配るプリントは、上質紙またはリサイクル紙を使い、自分用や教師同士には裏紙を再利用するなどしています」(小学校教諭B)
腰洗い槽がなくなった
プールの前に、必ず腰までつかった腰洗い槽は、2001年に撤廃。
「腰洗い槽の高濃度の塩素水が、過敏な体質の児童生徒には強すぎたんです。ろ過装置付きのプールであれば菌が繁殖する可能性は極めて低く、シャワーの洗浄でも充分殺菌できると判断されました」(小学校教諭C)
座高測定が廃止
戦前から70年以上も続いてきた座高測定は、2015年度限りで廃止。
「内臓の発達具合で健康度がはかれるとして、上半身を測定するのが狙いでしたが、現代にはもっと優秀な測定方法があるということでなくなりました」(小学校教諭D)
男女共、体操着はハーフパンツ
性的対象に見られるのが嫌だという声を受け、女子の密着型ブルマーは2004年頃に廃止。男女共ハーフパンツを着用している。
「制服や体操着などの校則も変わってきていて、体操着や上履きも学校指定でなくていいというところも。教師としては、ジャージーのラインの色などで学年が一目でわかる方が便利なんですが……」(中学校教諭A)
アルコールランプは使わない
理科の実験でおなじみのアルコールランプも姿を消した。
「アルコールランプは三脚と金網、マッチと使うアイテムが多く、かつ手順も守らなければならないので、技術を習得するのが大変でした。1990年にはアルコールランプを使った実験中に小6女児が大やけどを負う事故が起きたこともあり、安全で手軽なガスコンロへと切り替わっています」(小学校教諭D)
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2021年4月29日号