今年3月に発売された日立のコードレススティッククリーナー『パワかるスティック』(PV-BL30H)が評判だ。ごみを見やすくするため、視認性が高い緑色のLEDライトが搭載されたこの商品。どんな開発物語があるのだろうか?
バッテリーを搭載したコードレス掃除機は、その手軽さゆえ人気を呼んでいる。しかし、軽量化を追求するあまり、吸引力不足や持続時間に不満を持つ人も多い。そこで手軽な上に、ごみをしっかり吸引することの両立を目指したのが『パワかるスティック』だ。この設計にかかわった技師・工藤弘樹さんも、小さな子供を育てる中で、食べこぼしのごみなどを掃除しきれず、そこに不便を感じていたという。
これらを解消してくれるのが、同商品の特徴的な機能である「ごみくっきりライト」だ。緑色のLEDライトが小さく見逃しがちなごみも照らし出す。パワーの増強以外に不満解消の糸口を見出したのだ。
日立のほかの掃除機にもLEDライトを搭載しているものがある。しかし、光が当たる範囲が限られるなど、「ごみを効率的に照らし出す」ことに特化しているものはまだなかった。「ごみくっきりライト」の開発は、同社の照明設計の部門と協力しながら進められた。
注目したのが、視認しやすい緑色のLEDライト。当初は現在のものよりはっきりした緑色で開発を進めていたものの、社内では緑の色が濃すぎると違和感があるという声があがり、緑と白のLEDライトを交互に配置することで、見やすく優しい色合いになった。
『パワかるスティック』のLEDライトは、掃除機の吸い込み口となるヘッド部分に搭載されているが、構造上、ライトはヘッドの限られた範囲までしか搭載できない。すると、ごみが照らし出される範囲も狭くなる。これを解消するため、両端のレンズを外側に向けて搭載することで、照らし出される範囲が広がった。
開発は2019年夏頃からスタートし、2021年3月に発売されたばかりの商品だが、計画の2倍以上の売り上げを記録していて非常に好評だという。
「ごみがくっきり見えると、同じ場所を何度も掃除することもなく時短になり、忙しい共働き世帯にも受け入れられています」と工藤さんは話す。
紙パック式やサイクロン式、ロボット掃除機など、さまざまな掃除機が販売されているいま、手軽に掃除ができることからスティックタイプ掃除機は主力商品となりつつある。新生活スタートの際の1台目の掃除機として、はたまた「パワータイプのものはしっかり吸うけど軽いタイプがよい」という女性やシニア層の2台目としても活躍してくれそうだ。
※女性セブン2021年4月29日号