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コロナワクチン ほかの薬との「かけ合わせ」に関する研究は不足

(時事通信フォト)

薬とのかけ合わせはどうなのか(時事通信フォト)

 65才以上の高齢者を対象に、新型コロナウイルスのワクチン接種が4月12日からスタートした。副反応のリスクなども気になるところだが、ほかの薬とのかけ合わせの影響も知っておきたい。都内の70代女性は薬の不安を訴える。

「かかりつけ医に血圧が高いと言われて、血圧を下げる薬や胃酸を和らげる薬などを、処方されるまま5種類ほど服用しています。薬にのみ合わせがあるのと同じく、ワクチンにも薬とのかけ合わせがあると思うので、接種に不安を感じています」

“薬の処方大国”である日本では、日常的に複数の薬を服用している人が多い。しかし、薬とワクチン接種の関係についての研究は進んでいない。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんはこう話す。

「通常の医薬品なら製造に3~5年かかるところ、コロナワクチンは遺伝子情報が公開されてから1か月以内に初期のワクチンがつくられました。過去に例のないスピードで製造されたため、既存の薬とのかけ合わせの研究は不足しています」

 まず注意したい薬は、不整脈や血栓症などに処方される「ワルファリンカリウム」などの抗凝固薬だ。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが説明する。

「いわゆる“血液をサラサラにする系”の薬は、ワクチン接種後に出血が止まりにくくなる可能性があります。ただし接種後に針を刺した部分を2分以上しっかり押さえていれば問題ないとされます」

 不安が大きいのは、抗がん剤を服用する患者だ。神奈川県在住の50代主婦が語る。

「昨年、乳がんを患って抗がん剤治療を続けていますが、気力も体力もすっかり低下しました。コロナの感染リスクを下げるためワクチンを接種したいのは山々ですが、体が異物であるワクチンを受け入れるかどうか。万一の事態が生じないか心配です」

 日本癌治療学会は「前向きに検討しましょう」としており、一石さんも同じ見解だ。

「海外の報告からも、がん患者や抗がん剤治療中のワクチン接種に大きな問題はありません。免疫機能が下がっていて抗体ができにくい可能性はありますが、接種そのものに支障はなく、むしろ理論的には免疫賦活作用(※免疫の作用を活発にすること)による病状の好転が期待できます。

 ただし、抗がん剤治療の開始直前や入院直前のワクチン接種は、接種後の発熱などで治療スケジュールに影響する可能性があるので避けるべきです」

 ワクチンは血栓症をもたらす恐れがある。血栓が生じるリスクを高める薬にも気をつけたい。

「ピルなどすでに血栓症の副作用が報告されている薬をのんでいる場合は、ワクチン接種による血栓症のリスクに一層気をつけるべきでしょう」(室井さん)

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