コメディ要素を盛り込みながら恋愛ストーリーがテンポよく展開されるラブコメ。ドラマの定番ジャンルの1つだが、4月から始まった連続ドラマにはこのラブコメ作品が多い。俳優陣が特徴的で、主要キャストの多くがアラフォー世代の俳優なのだ。その背景について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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4月も下旬に入り、ようやく主要ドラマが出そろいつつありますが、今春で目立っているのがラブコメの多さ。
『着飾る恋には理由があって』(TBS系)、『恋はDeepに』(日本テレビ系)、『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)、『リコカツ』(TBS系)は王道のラブコメであり、『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ・フジテレビ系)も広義にはラブコメと言っていいでしょう。
ただ意外だったのは、各作品の主要キャストにアラフォー俳優が多いこと。下記に各作品の主要キャストと年齢を挙げてみましょう。
『恋はDeepに』は、綾野剛さん(39歳)と石原さとみさん(34歳)。
『レンアイ漫画家』は、鈴木亮平さん(38歳)と吉岡里帆さん(28歳)。
『リコカツ』は、永山瑛太さん(38歳)と北川景子さん(34歳)。
『大豆田とわ子と三人の元夫』は、松たか子さん(43歳)、松田龍平さん(37歳)、角田晃広さん(47歳)、岡田将生さん(31歳)。
アラフォー世代が目立ち、ラブコメの標準年齢とみられる20代同士の組み合わせは、『着飾る恋には理由があって』の川口春奈さん(26歳)と横浜流星さん(24歳)くらいなのです。
実際、放送がスタートしてみるとネット上には、「演技はいいけど、アラフォーにラブコメはキツい」「胸キュンシーンは見ているほうが恥ずかしくなる」「ちょっと痛くて見ていられなかった」などの声が散見されました。なぜ今春はアラフォー俳優がメインキャストのラブコメがそろったのでしょうか。
「ラブコメありき」だが数字もほしい
綾野剛さん、鈴木亮平さん、永山瑛太さん、松田龍平さんのアラフォー男性俳優4人は、演技派と呼ばれることはあっても、ラブコメのイメージはほとんどないでしょう。その意外性を制作サイドが狙っているのは間違いないものの、あくまでそれは二次的な理由。まず「10~40代の男女に見てもらうために明るいラブコメを作ること」が最優先されていて、その上で「数字を獲るために、彼らのような実力と実績を併せ持つ俳優が起用されている」のです。
実際、『恋はDeepに』の枝見洋子プロデューサーは、「最強かわいい石原さとみさんと、最強かっこいい綾野剛さんの夢の初共演!!運命の恋に落ちる主人公たちを演じるお2人の、笑顔も涙も、驚きも切なさも、表情すべてが素晴らしく、スタッフ全員、ときめきに撃ち抜かれています」と2人の実力と実績を前提にしたキャスティングであることを明かしていました。
『リコカツ』の植田博樹・吉藤芽衣プロデューサーも、「この人たちのラブストーリーを見たいとみんなが思う俳優でなければ、ワクワクしません。みんなをワクワクさせる組み合わせで、そして芝居が圧倒的にうまい二人を熟考した結果、北川景子さんと永山瑛太さんの組み合わせに、ある夜、突然に思い至りました」とコメント。また、2人のキャスティングを実現させるために数年かかったことも明かしています。
『レンアイ漫画家』の佐藤未郷編成企画も、「企画が決まって、いの一番にオファーさせていただいたのが、主演の鈴木亮平さん」「唯一無二の存在感、圧倒的な演技力に裏打ちされた抜群のコメディーセンス」「鈴木さんが表情豊かにみせる思い切ったキャラクターアーク(変化)にもご注目ください」などと演技力を重視して選んだ様子がうかがえました。