希望する会社員が「週休3日」を選択できる制度の普及に向けた議論が本格化している。すでに導入している企業もあるが、実際に利用している人は少数にとどまっている。そこには制度的な仕組みづくりよりも根深い問題が横たわっている。同志社大学政策学部教授の太田肇氏が指摘する。
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政府は「選択的週休3日制」の導入に向けて議論を始めた。休日を活用して副業する人が増えれば成長分野に労働力が供給され、経済の活性化につながる。また働く人にとっても家事や育児、介護との両立がしやすくなり、大学院や専門学校で学ぶこともできる等々、いいことずくめのように聞こえる。
欧米企業とは違う「組織の性格」
たしかに働き方の選択肢が増える点は評価できるし、それが人材不足対策や生産性向上につながれば、社会全体にとってもプラスになるだろう。実際にオランダやドイツ、スペインなど、ヨーロッパではすでに週休3日制を導入、もしくは試行している国がある。そしてヨーロッパ諸国では、時間あたりの労働生産性もおしなべて日本より高くなっている。
しかし、実際に企業が選択的週休3日制を導入しようとすると、“わが国特有の壁”にぶつかることを覚悟しておかなければならない。
それは、欧米企業と日本企業は組織の性格と雇用の枠組みが根本的に異なるところからくる。
欧米企業では一人ひとりが企業と契約でつながっているのに対し、日本の企業組織は共同体型であり、社員は共同体の一員として働いている。そのため、全員が共同歩調をとらなければ仕事が回らない。
また共同体であるゆえに平等意識が強く、社員間のちょっとした不公平にも敏感に反応する。選択的週休3日制を導入するうえでも、それが最大のネックになるだろう。