「北京五輪のことは考えていません。今年、東京五輪が開催されるといいなと思っています。ぼくは喘息の問題は抱えていませんし、この大会に向けて体調は問題なかったです」
大阪で開催された「世界フィギュアスケート国別対抗戦」(4月15~18日)で、男子フリーの演技後にオンライン取材に応じた羽生結弦選手(26才)。海外メディアからの「今週、喘息で問題はあったか。北京に行って喘息の問題が出ることは?」という質問に対し、こう言い切った。
国別対抗戦では、ショートプログラム、フリーともに今シーズンの自己ベストを更新したものの、いずれも米国のネイサン・チェン選手(21才)に及ばず2位。日本チームはロシア、米国に続き3位という結果だった。
「これだけきっぱりと“北京五輪のことを考えていない”と明言したのは、彼の中に大きな心境の変化があったからかもしれません。偏った見方かもしれませんが、“もう順位がつけられる採点競技”はしたくないというふうにもとらえられました」(フィギュアスケート関係者)
今回の国別対抗戦中、関係者らの間では「ある話題」でもちきりだったという。
「採点基準についてです。フィギュアスケートの得点は大きくは『技術点』と『演技構成点』の2つに分けられ、いずれもジャッジ(審判員)の採点によって決まります。
演技構成点はスケーティング技術、要素のつなぎ、動作・身のこなし、振り付け・構成、音楽の解釈の5項目からなりますが、客観的な基準がないため、以前から“ジャッジの主観が入りやすい”との指摘があります。ところが今回は、細かい採点基準があるはずの技術点までもが恣意的になっていたとの批判が上がったのです」(前出・関係者)
技術点はジャンプ、スピンなど4つの項目について、技の難易度に応じた基礎点が設定されており、さらに11段階の「GOE(出来栄え点)」が加味される。そうして個々の技が評価され、合計点で算出される仕組みだ。例えばジャンプでは「高さや距離」「踏み切り、着氷」など6つの項目をジャッジが判断し、「−5」から「+5」までのGOEを基礎点に加える。
「実は3月の世界選手権でも、“羽生選手のジャンプのGOEが低すぎると話題になっていました。今回の国別対抗戦では、彼の点数の低さがより明らかだったと主張する関係者が少なくないのです」(前出の関係者)