菅義偉・首相は4月の日米首脳会談後の共同会見で、「世界の団結の象徴として開催を実現する決意であることを大統領にお伝えし、支持をいただいた」と“東京五輪強行開催”を国際公約した。海外メディアでは“東京五輪中止論”も多いが、日本のメディアはそれとは逆に「開幕まであと○○日」とカウントダウンで五輪ムードを煽り、NHKは聖火リレーのインターネット中継で、「五輪反対」と抗議する沿道の声を一部消して配信した。
歴史家の島崎晋氏は、政府とメディアが“ここまで来たらやるしかない”と突き進む現状が、不利な戦況を隠して戦争を続け、国を敗戦へと追い込んだ太平洋戦争と重なって見えるという。
米国はそんな日本の“コロナ敗戦”“五輪敗戦”の未来を予測している。菅首相は訪米前、国会で「首脳会談でバイデン大統領を東京五輪に招待するつもりか」と質問され、「当然そうなる」と答弁していた(3月26日の参院予算委員会)。
ところが、首脳会談後の会見ではバイデン招待も米国の選手団派遣も発表されることはなかった。
「総理の指示を受けた外務省は事前の交渉で大統領の来日を強く要請したが、色よい返事はなかった」(自民党外交部会幹部)
バイデン政権が東京五輪を開催するという首相の言葉を全く信じていないことがわかる。
自民党内でも二階俊博・幹事長が首相訪米直前のタイミングで、「これ以上とても無理だということだったら、スパッとやめないといけない」と五輪中止の可能性に言及して大問題になった。二階氏の側近が語る。
「菅総理は五輪に政治生命を懸けているが、二階さんは違う。開催が無理な状況になった時、“だから言ったじゃないか”と連帯責任を回避するための布石を打った」