コロナによる度重なる緊急事態宣言の発令は、まるで終わりの見えないトンネルの中にいるようである。だが、偉人の生涯をみると、予期せぬ逆境が降りかかったときにこそ、創造的な思考を養っていた。近著に『偉人名言迷言事典』がある著述家の真山知幸氏が、このゴールデンウイークを「創造的休暇」として過ごすためのヒントを、偉人たちのエピソードから紹介する。
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今回のコロナ禍で思わぬ脚光を浴びた偉人が、アイザック・ニュートンである。
注目されたのは、ニュートンもまた私たちと同じく感染症の影響で生活が大きく変わったが、いわゆる自粛期間中に、とてつもない偉業を成し遂げたからだ。
ペスト禍で偉業を成し遂げたニュートン
ニュートンの場合は、感染症ペストが猛威を振るい、通学していたケンブリッジ大学が休校。やむなく田舎に帰省したニュートンだったが、退屈でやることがない。ただ本を読み、静かに一人、思考を深めるしかなかった。ニュートンは自身の思考術について、こう語っている。
「集中し、ひたすら努力することだ。私は常に、頭にある問題を考え続けている。はじめはゆっくりと夜が明けるような具合に、答えが少しずつ見え始め、やがて明らかな光になるのだ」
考え抜いた結果、ニュートンは、ペストでやむなく田舎に帰省していた時期に「万有引力の法則」「微積分法」「光学(色彩論)」という3つの大理論の基礎を築くことになる。期間にして、1665年から1666年にかけてのわずか1年半での出来事である。
もし、ペストが流行していなければ、少なくとも、この短期間でこれだけの偉業を成し遂げることは難しかっただろう。感染症という逆境で生まれた時間を「創造的休暇」として生かしたニュートン。「奇跡の1年」といわれる価値ある時期を過ごすことができた。