国際情報

もしも中国が台湾に侵攻したら…日本は邦人救出、陸自の特殊作戦も

“もしも”のときはどう対抗する?(写真は米軍との実動訓練を行なう陸自の水陸機動団/共同通信社)

“もしも”のときはどんな対策が?(写真は米軍との実動訓練を行なう陸自の水陸機動団/共同通信社)

 日米首脳会談の共同声明で52年ぶりに触れられた「台湾」。「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたが、中国は近年、台湾の防空識別圏に戦闘機や爆撃機などを侵入させて挑発を続けている。

 米国では議会で米軍司令官が「6年以内に中国は台湾に侵攻する恐れがある」と証言し、武力衝突の可能性が取り沙汰されてきた。

 近い将来、中国が台湾に軍事侵攻するとしたら、日本はどう台湾防衛に関わることになるのか。

 元航空自衛隊三佐で軍事評論家の潮匡人氏は、「さまざまな安保シンクタンクが台湾有事のシミュレーションをしているが、おおむね、中国が台湾に勝つという結果になっている」と悲観的なシナリオを示すが、「ただし、それは前提条件次第だ」とこう続ける。

「多くのシミュレーションで日本の自衛隊は参加しない前提になっているが、自衛隊が米軍とともに台湾を防衛するという状況はありえないわけではなく、場合によっては優劣をひっくり返す可能性がある」

 日本が台湾防衛に参加するのは、どのような事態なのか。

「中東で石油や天然ガスを積み込んだタンカーは、台湾海峡を通過して日本に入ってくる。ここは日本にとって安全保障上、極めて重要なシーレーン(海上交通路)で、中国が台湾を組み込んでしまうと台湾海峡を使えなくなる可能性がある。

 シーレーンが封鎖されるなど、放置すれば日本の安全保障に重大な影響を与えると首相が判断し、『重要影響事態』と認定すれば、自衛隊は米軍艦艇への水や燃料の補給など、後方支援を行なうことになる」(前出・潮氏)

 台湾が戦場になれば、日本政府が真っ先にやるべきは邦人救出である。

「台湾には現在約2万人の邦人がいるが、これはコロナ禍で減った数字で、収束して元の水準に戻れば4万人にもなる。それこそ中国から弾道ミサイルが撃ち込まれている中で、これだけの人数をどう救出するのか。

 具体的には、オスプレイを活用して在留邦人をピックアップし、輸送機C2、もしくは政府専用機に乗せて帰国させる。場合によっては、陸自の特殊作戦群(特殊部隊)の投入もあり得るかもしれない」(潮氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン