倒壊した家屋のがれきや、壊れた家具・家電など、地震が原因で発生したゴミのことを“災害廃棄物”と呼ぶ。東日本大震災の災害廃棄物の発生量は、約2000万トン。環境省の推計では、首都直下地震では約1億1000万トン、南海トラフ巨大地震では東日本大震災の16倍にあたる約3億2000万トンもの災害廃棄物が発生する見込みだ。
「大規模災害時は、大量のゴミが発生するため、ゴミの処理が追いつかなくなります。それゆえ、衛生面や安全面での問題が起こりやすく、東日本大震災のときもゴミ集積所に大量のハエやネズミが発生。災害廃棄物が原因による火災も岩手・宮城および福島県で計38件発生しました」
と、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。そのため、大規模災害時は、自治体ごとにゴミの出し方について、特別なルールが設けられている。
「地震発生直後は、道路などの被害状況により、ゴミ収集が一時的に停止する可能性が高いです。ゴミ収集は発生後3日以内を目標に再開するよう設定されているので、それまでは、いつものように分別し、自宅で保管しておきましょう」(和田さん・以下同)
ゴミ収集再開の案内は、自治体の公式サイトやツイッター、ラジオなどで発表される。
生ゴミなどの燃えるゴミを優先して回収
ゴミ収集が再開しても、なんでも出してよいというわけではない。自治体によって細かいルールは違うが、基本的にゴミ収集は、衛生面を考慮し、生ゴミ・汚物(し尿)・おむつなどの“燃えるゴミ”が優先となる。缶・ペットボトルなどの資源ゴミ、新聞紙などの古紙類は、収集が再開されるまで自宅で保管しておくケースが多い。
では、地震により壊れた家具や家電、がれきはいつどこに捨てたらいいのだろうか。
「これら災害によって発生したゴミは、決められた仮置場に住民自らが運ぶことになります。仮置場は、近くの公園や空き地など、災害の状況に応じて決められ、瓦、家電、じゅうたんなど、分類して捨てなければなりません」
つまり、災害時のゴミは、いつものごみ集積所ではなく、所定の場所に持っていくのが正解だ。通常のゴミ集積所や自宅前の道路に出すと、ゴミがあふれて通行の妨げになるので、絶対にやってはいけない。迅速な復旧・復興のためにも、平時以上にゴミ出しのルールは守ろう。
取材・文/鳥居優美
※女性セブン2021年5月6・13日号