2005年に放送されて社会現象を巻き起こした人気ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)の16年ぶり続編が始まった。なぜ今、『ドラゴン桜』なのか。“東大進学”の価値はこの16年でどう変化したのか。
同名漫画を原作とした『ドラゴン桜』は、学力偏差値の低い高校生たちが最難関・東京大学への現役合格を目指す物語。暴走族のリーダーから弁護士になった主人公(阿部寛)が、特別進学クラスの担任となって生徒たちに受験のテクニックを伝授するという破天荒な内容が話題を呼んだ。
ドラマ放送後の2005年11月には、大手予備校が実施した東大模試の受験者数が増加。2006年度の東京大学の志願者数も前年と比して増加したほか、原作漫画が受験のための勉強法として注目を集めるなど、まさに社会現象といえる影響を及ぼした。
代々木ゼミナール、東進ハイスクールと有名予備校の講師を歴任し、“元暴走族のカリスマ講師”としても知られる古文講師の吉野敬介氏は、『ドラゴン桜』の第1シリーズが放送された2005年頃についてこのように振り返る。
「僕は1991年に代々木ゼミナールの講師に着任したんですが、当時は暴走族から予備校の講師になる人はほとんどいませんでした。それが徐々に“ヤンキー先生”みたいな人が増えてきて、2000年以降はテレビでも『ごくせん』や『ドラゴン桜』のように、破天荒な講師が低偏差値の生徒を指導する物語が一般的になっていきました」
偏差値32からの東大合格は可能か?
「偏差値32」からの東大挑戦を描いた『ドラゴン桜』。そのような下剋上は現実に可能なのだろうか。