給食で必ずのように登場し、「体に良いもの」というイメージがある牛乳。その他、チーズやヨーグルトなどの乳製品も“健康的”なイメージを持つ人が多いだろう。しかし、最新の研究結果では、必ずしもそうではないことが明らかになりつつある。
松生クリニック院長で、腸の病気に詳しい松生恒夫さんも“乳製品万能説”を信用しすぎるのは危険だと声をそろえる。
「お通じのためにヨーグルトをはじめとした乳製品を食べている人は多いが、これらに含まれる乳酸菌の多くは胃酸に弱い。消化の過程でほとんど消滅してしまって腸に届くときは大半が死骸になってしまいます。加えて飽和脂肪酸やコレステロールの含有量が比較的多く、毎日ヨーグルトを食べればその量はかなりのものです」
コレステロールや飽和脂肪酸は糖尿病との関連が深い。糖尿病は、重症になれば視力を失ったり、足の切断を余儀なくされたりすることもある。これに限らず、乳製品が引き起こす重篤な状態はほかにもある。40年近くにわたってがん治療に携わる「からすま和田クリニック」院長で京都大学名誉教授の和田洋巳さんは、患者の食生活にある“法則”を見つけた。
「診察に来る女性がん患者に食生活の内容を聞くと、ほぼすべての人が乳製品を大量に摂っていました。こうしたことから、チーズやヨーグルトなどの動物性食品が体を酸化させて免疫力を下げたことにより、がんが発生しやすい体になってしまったと推察できます。私のクリニックでは、乳製品の摂取を控えるよう指導しています」
和田さんの臨床経験では、乳製品の摂取は乳がんや卵巣がん、子宮体がん、S状結腸がん、また肺腺がんに結びつくことが多いという。加えて前立腺がんも、国立がん研究センターが約2万人を対象として実施した調査によれば、乳製品の摂取が増えるほどがん罹患率が上がるという結果が出た。
「診察に訪れた乳がんなど複数のがんを持つ70代女性に“乳製品断ち”を指導したところ、それだけで再発もなく元気で暮らせるようになったケースもありました」(和田さん)
※女性セブン2021年5月6・13日号