モデルのマリエ(33才)が4月4日のライブ動画配信中に行った「枕営業強要告発」が大きな話題となった。現場に居合わせ、それをあおった“加害者の1人”とされる出川哲朗(57才)の出演番組が、14日には「ゼロになった」と一部夕刊紙で報道される事態にまで発展。その後、16日には、出川の所属事務所の公式サイトで出演情報が更新されたものの、30年以上のキャリアを誇り、2018年にはCM起用タレントランキング男性部門1位になった出川ですら、このまま表舞台から姿を消すのではないかと世間は大きく動揺した。というのも、昨今、芸能界では不祥事を起こした芸能人が「抹消」される現象が相次いでいるからだ。
昨年6月に複数の女性との不倫が発覚したアンジャッシュの渡部建(48才)は、年末に1時間40分にも及ぶ謝罪会見を開いたにもかかわらず、一向に復帰の目途が立たない。
2019年6月に麻薬取締法違反で有罪となったミュージシャンのピエール瀧(54才)、その翌年、同じく有罪となった女優の沢尻エリカ(35才)は、予定されていた出演作の公開や放送が中止・延期になり、過去の作品が「封印」される騒動となった。昨年10月に交通事故を起こした伊藤健太郎(23才)も、若手俳優の筆頭株として活躍していたが、姿を見ることはなくなった。
世間の「ルール」から逸脱した者を、徹底的に抹消するこうした現象は「キャンセルカルチャー」と呼ばれる。「キャンセル」という言葉には、「取り消し」「解除」などの意味が込められ、日本だけでなく、世界各国で顕著になっている。キャンセルカルチャーに詳しいニューヨーク在住の文筆家・佐久間裕美子さんが、アメリカでの事例を語る。
「人気ドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の主演を務めていたケヴィン・スペイシー(61才)は、約30年前に起こしたセクハラ行為の告発に始まり、未成年に対する複数の性的暴行疑惑が持ち上がって、2017年に同作をクビになりました。ジョニー・デップ(57才)も、元妻で女優のアンバー・ハード(35才)へのDV疑惑から、キャンセルの危機にあるといわれています」
コロナ禍の韓国では、東方神起のユンホ(35才)が窮地に追い込まれている。飲食店に深夜0時頃まで滞在した疑いで「感染症予防法違反容疑」で立件されると、やがて「ユンホが逃走を試みた」「滞在していた店は違法な遊興施設だった」など、真偽不明の情報が浮上。さらには、「愛犬を捨てた」といった過去の噂話まで引っ張り出され、広告モデル、出演番組などをすべて降板している。
「韓国では、芸能人やスポーツ選手の学生時代の同級生を名乗る人物たちが、かつて彼らから受けた暴力被害を訴える『校内暴力論争』が後を絶たず、連日大きな話題になっています。好感度の高い芸能人でも、あっという間にイメージが失墜するリスクの高さから、一般企業が芸能人を広告モデルに起用することを抑制する動きもあります」(韓国の芸能情報に詳しい記者)
「キャンセル」の猛威は、止まる気配がないという。
※女性セブン2021年5月6・13日号