国内

コロナ禍で注目を集める「リモート検診」 検査結果の精度に懸念も

aaaaa

検査は自宅でもできるようになってきた

 病院での新型コロナウイルス感染症のリスクから、検診や検査を受けようか迷っている方も少なくないはず。しかし、重大なリスクを見逃しかねない検査の受診率低下について、常磐病院乳腺外科の医師の尾崎章彦さんは懸念している。

「コロナ禍で定期検診を先延ばしにしている人は少なくありません。実際にアメリカなどにおいても、検診を受ける人が大幅に減ったことが懸念されています。

 日本でも2011年の東日本大震災後は、被災地で乳がん検診の受診率が下がり、発見の遅れにつながりました。一般に、がん検診は症状がない人が予防のために受ける検査ですが、未曽有の事態だからと後回しにすれば、症状が出てから見つかったときに負担が大きい治療を受けることになるばかりか、治る病気で命を落とす可能性があります」

 そんななか注目を集めているのが、“リモート検診”だ。自宅に送られてきた検診キットを使って、家の中で検診を受ける人も増えている。だが尾崎さんは、安易な利用に注意をうながす。

「血液の腫瘍マーカーを調べてがんを判断する検査は、それのみでは意義が乏しい。現場の医師は、腫瘍マーカーだけでがんを診断することはありません。一方で便潜血検査や尿検査なら問題ないでしょう。血液検査に関しても、糖・コレステロール・肝機能など一般的な項目なら受けてもいい。ただし、血液検査は、病院でも採血している間に血液が固まるなどすれば検査値に影響が生じうる。郵送の検査キットでは、検査結果の精度をどう担保しているのか、事前に業者に確認してほしい」

 医療法人社団進興会理事長で、旧国立がんセンターでがんの予防や検診にあたってきた医師の森山紀之さんも、便潜血検査と簡単な血液や尿検査なら信頼できると言う。

「ただし『がんになりやすい体質を調べる』『遺伝子情報を調べる』など、病気に直接関係ないものは、エビデンスやデータがないことが多いため、鵜呑みにするのは危険です」(森山さん)

※女性セブン2021年5月6・13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんとの写真を公開した大谷翔平(公式インスタグラムより)
《さようなら長嶋茂雄さん》大谷翔平から石原裕次郎まで、誰からも愛された“ミスター”の人生をスターたちとの交流で振り返る 
女性セブン
人気インフルエンサーがレイプドラッグの被害者に(Instagramより)
《海外の人気インフルエンサーが被害を告発》ワインに“デートレイプドラッグ”が混入…「何度も嘔吐し、意識を失った」「SIMカードが抜き取られていた」【オーストリア】
NEWSポストセブン
『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン