新型コロナウイルス感染のリスクを避けるため、病院での検診や検査を躊躇する人も多いという。しかし、検査を受けずにいたために、重要なリスクを発見できないというケースもあり得る。早期発見が重要となる疾患であれば、なおさら検査は受けておいたほうがいいはずだ。乳がん検診、大腸がん検診、便潜血検査、子宮頸がん検診、血液検査、歯科検診については、特に検査を受けておくべきだと言われている。
受診すべき検診については、早速病院へ足を運びたい。医療法人社団進興会理事長で、旧国立がんセンターでがんの予防や検診にあたってきた医師の森山紀之さんは、まず病院や健診施設のホームページの確認を推奨する。
「新型コロナウイルスの感染が拡大してから1年。未知のウイルスを相手に最初は現場も混乱しましたが、いまはどの医療機関も基本的な感染対策ができています。そのうえで多くの医療施設では、ホームページに独自のコロナ対策を掲載しています。飲食店のコロナ対策と同じく、積極的に情報を公開している施設は対策がしっかりできていると考えられます」(森山さん)
常磐病院乳腺外科の医師、尾崎章彦さんがは、「不安に思ったら電話で問い合わせてほしい」とアドバイスする。
「病院内の基本的な感染対策に加え、職員の会食を禁止しているかなども判断のポイント。日本では少ないだろうが、医療従事者が定期的にPCR検査を受けているような施設は特に安心です。逆に感染対策を問い合わせて不親切な対応をするような施設は、やめた方がいい」(尾崎さん)
検診後のサポート体制も大事だ。尾崎さんが続ける。
「誰に検査をしてもらうかよりも、結果の説明や後のフォローがどれだけ手厚いかをチェックしてほしい。
今後継続的に検診を受ける可能性を念頭に、アルバイトではなく常勤の医師が診察してくれるような体制がある方が安心です。
医師の性格や人柄も大事で、異常があったときに患者の希望に沿った病院を紹介してくれるなど親身になって話を聞いてくれるところがいい。
特に検診は、手術のように医師の腕に大きく左右されるようなケースは少ない。だからこそ人柄が重要なのです」
日本における新型コロナウイルスによる死者が、累計で約1万人になろうとしている一方で、検診を受けないことで亡くなる人もいる。
「がんで亡くなる人は年間約36万人、生活習慣病で亡くなる人も含めてその数は約70万人。早い段階で治療を受ければ助かる人はたくさんいます」(森山さん)
コロナにかからなくても、別の理由で命を落としたら意味がない。自分の体を守るために、最適な行動を取りたい。
※女性セブン2021年5月6・13日号